MP4Exporterの無劣化カット編集機能

MP4Exporterの無劣化カット編集機能
 
MP4動画の簡便な無劣化カット編集ソフトとしての使い勝手は?
(2010.06.16作成)
 
MP4Exporterは、QuickTimeムービーの余分な箇所をカットして、QuickTimeのPro機能を
 借用 して無劣化ないし圧縮変換する事が可能な無料のツール。
 SANYOのムービーカメラ<Xacti>で撮った動画ファイル(MP4)を、編集・保存・変換する用途
 に開発された。
 なお、編集は I-フレームサーチ機能により GOP単位で可能となっている。
筆者はMP4動画の無劣化カット編集ツールとして、MPEG Streamclip for Windows
 利用して来たが、今回はMP4Exporterとの使い勝手の違いについて検証してみた。
 OSは64ビットWindows 7を使用し、QuickTimePro7.6.6+MPEG-2再生コンポーネント環境
  下で実行した。

 入手先とインストール
MP4Exporterの入手先は、ここから (今回はVer1.97を使用) 。
 ダウンロードしたMP4Ex197.exeを、適当な場所に解凍すればそのまま使用出来る。
このソフトの作動には、.NET Framework 2.0以上、 QuickTime7.6以上、 DirectX9.0以上
 が必要だが、 QuickTimeはProである必要はない。
 .NET Framework2.0は、Vista、7には標準搭載されているので新たに必要ない。
OSはWindows XP/Vista日本
 語版、及び7 でも使用出来
 るように記載されているが、
 64ビットWindows 7では右
 警告が表示され上手く作
 動せず使用不可。
今回は、64ビット版Windows 7 Professinal で作動する仮想マシンVMware Player 3.0の
 ゲストWindows XP(無料で借用したWindows XP Mode)上で実行
した。
 
 入・出力対応ファイル形式
対応ファイル形式は、QuickTimeの仕様に準拠(こちらを参照)。
出力は、”QuickTimeProでは選択出来るフォーマットが、本ソフトでは選択できなかったり、
 出力されなかったりしますが、ライセンスによる制約です。QuickTimeProを購入していて
 も、本ソフトでは選択できませんので、ご了承ください”と(こちらを参照)。
 
 今回用いた素材
SANYO製のムービーカメラ Xacti DMX-HD1000のFull-HDモードで撮影したMP4ファイル。
 
 操作方法
MP4Exporter.exeをダブルクリック起動。
「ファイルの追加」 から素材ファイルを読み込む。
本ソフトのカット編集は、必要な選択範囲を抜き出す(トリムする)事により不要部分をカット
 する方式となっている。
 I-フレーム検出機能で、MP4やMOVファイル編集時の音ズレを抑制する事が可能。
  なお、MP4・3GP・MOV等のISOMPEG4準拠のファイル形式のみ機能し、ヘッダとして情
      報を持っていないAVIファイル等は検索出来ない。
残念ながら、1ファイルに一つの範囲しかトリミング出来ない。
 幸い、同じファイルを複数読み込む事が可能で、リスト順に結合することが出来るので、
以下の方法で、今回はこの素材から3箇所の範囲をトリムする事とする。
 
 
  確定後にダブルクリックすると選択範囲が表示されるが、映像が直ちにその部位に
  ジャンプしてくれる訳ではない。
 
2番目のトリミングを実行
 
  3番目のトリミングを実行
 
最後に、再エンコード無しにトリム・結合だけしたい場合は、「エクスポートのオプションを
 指定する」のチェックを外した状態で「エクスポート」を押すか、またはエクスポート保存
 ダイアログの所で、「エクスポート:ムービーからMPEG4」を選び、さらに隣の「オプショ
 ン」を押して、「ビデオフォーマット:そのまま」「オーディオフォーマット:そのまま」を選択。
 
 「名前を付けて保存」ダイアログが表示されるので、保存先と名前を指定して「保存」を
  クリック。
 →短時間で出力される。
 
 結果 :
1)QuickTime Proでもトリミングして無劣化で出力し、これをコピーして貼り付ける事により
  一つのファイルに結合する事は可能だが、MOV形式でないと無劣化で出力出来ない。
  MP4Exporterは結合手順が簡素化されておりMP4形式でも出力可能なので、QuickTime
   Proの補助ツールとしても有用だ。例えば、
  <擬似ストリーミング出来ないアスペクト比不正のMP4動画の無劣化修正>
    MOV/MP4動画を無劣化で再出力すれば、FastStartストリーミング再生が可能となる。
    MP4動画のアスペクト比の修正は、QuickTime Proで修正してMOV形式で出力した後
    に、本ソフトでMP4形式にすればよい。
    ⇒「無料ツールで変換したMOV及びMP4動画の配信試験」を参照。

2)しかし、MP4Exporterは 1ファイルに対して複数のトリミングが出来ないので、上記の工夫
  が必要となり、1ファイルに複数のカットが可能なMPEG Streamclipと比べて煩わしい。
 又、MP4Exporterは MPEG Streamclipのような調整ボタン(10秒ジャンプ)等が無い上に、
   プレビュー画面を拡大する事が出来ないので選択範囲を指定し辛い。
3)なお、MP4Exporterの「I-フレーム検出機能」は、MPEG Streamclipの「Go to Keyframe」
  と同じ機能だ。
4)一つに結合したファイルは、筆者が常用する以下の動画ソフトで編集変換しても、結合部
  位で再生停止や描画異常などの不具合は発生しなかった。
 
 <参考>MP4Exporterで一つに結合したMP4ファイルの再利用
I.変換方法:
   DVD, AVCHDとBlu-rayは該当の規格で変換したが、
   AVI(DivX_MP3)、MP4とMKV(H.264_AAC)やWMV, MPEG2, DIVX, FLV, RM, NSV
   への変換は、解像度640x360に縮小して圧縮変換した。
II.検証した環境:
   OSは、64ビット版Windows 7 Professionalで実行。
   DirectShowフィルタ・コーデック類のインストールと設定
    Haali Media Splitter v1.10.175.0
    ffdshow tryouts revision3452_20100524_clsid
      ビデオデコーダーで H.264/AVC: libavcodecを有効
      オーディオデコーダーで AC3:liba52を 有効に設定
   AviSynth 2.5.7、PowerDVD8 Ultra(b8.0.2217)
   Win7DSFilterTweaker 3.0で、Windows 7本来のデコーダを MP3デコーダ以外の
     多くは ffdshowへ変更した(こちらを参照)。    
    DivX Pro 6.8.5を使用し、Lame MP3は こちらの方法で導入した。
II.結果: (→  )内は今回検討した代表的な変換形式を示す。
 A)カットした部位でも問題なく変換可能なソフト
   総合動画編集ソフト
    Corel VideoStudio12 Plus(→Blu-ray)
    Windows Liveムービーメーカー14.0(→WMV)
     Avidemux 2.5.3 (→MKV)
     AviUtl 0.99i7(→AVI, MP4, FLV)
   簡易動画編集・変換ソフト
     TMPGEnc Plus2.56(→MPEG2, AVI)
     TMPGEnc4.0XPress 4.7.6(→WMV, DIVX, FLV)
   多形式相互変換ソフト
     MediaCoder 0.7.3b4616(→MP4, MKV, FLV):再生初期に映像が上手く描画
      出来ないファイルとなっていた不具合は解消した。
     SUPER c v2010.build.38(→MP4, MKV, FLV):"DirectShow Decode "を チ
      ックして出力すれば問題なく変換が可能。

     XMedia Recode 2.2.1.0(→MKV, FLV)
   特化コンテナ形式への変換ソフト
     Easy RealMedia Producer 1.94(→RM)
     NSV Batch Encoder(→NSV)      
     DivX Plus Converter 8.0(→MKV, DIVX)
     HandBrake 0.9.4.2(→MKV)
   DVDオーサリングソフト
     DVD Flick 1.3.0.7(→DVD):v1.2.2.1では変換エラーしていたが、解消した。
 B)フレームレート59.94を調整しないと、映像・音声解離を起こすソフト(元素材も同じ)
   調整可能
     RipBot264 v1.16.0(→MP4, MKV, AVCHD):以前問題なく利用可能としていた
      が間違いだった。
      初期設定のまま変換すると、映像が2倍位高速となって1.7回位再生し音声
      解離したファイルとなってしまう。
      ⇒DECIMMATE ->23.976FPSに、OUTPUT SPEED ->23.976FPSにと 2箇所
       
設定すると、問題ないファイルが作成出来る \(^o^)/
      なお、何故か?残念ながらインターレースの解除が出来ない。
   調整不可:修正する方法を見出せない。
     VirtualDubMod 1.5.10.3(→AVI, MKV)::映像が2倍位高速となって後半繰り返
      し再生し、映像・音声解離したファイルとなってしまう。
      映像>フレームレートの調整で等速となるが、繰り返し再生のままで上手く修
      正出来ない。
     HDConvertToX 2.5(→MP4):映像が2倍位高速となって1.7回位再生し映像・
      音声解離したファイルとなってしまう。
      De-interlace Filters:Change fps to 23.976にすると等速となるが1.7回位再
      生のままで修正出来ない。
     multiAVCHD 4.1b755(→Blu-ray):BDMVの構築は完成するのだが、映像再生
      が 約2倍速の映像・音声解離した可笑しなファイルとなってしまう。
      Title transcode settingsで 59.940fpsから 29.970fpsへ変更してみたが、変
      更前と大きく変わらず、高速化した映像が繰り返し停止してしまう。
      ⇒姑息的な方策は、「multiAVCHD 4.1でモーションメニュー付きBDMVの作成
        を参照。
        なお、Yambはフレームレートを映像無劣化で変更する機能を有していない。
 C)素材(撮影日)の違いで未対応となったソフト
    A's Video Converter+Avivo Video Converter 9.2(→MPEG2, AVI, WMV):
      変換エラー
      Haali Media Splitterを v1.7.62.21、v1.9.42.1に変更してもダメだった。
      ナッ何んと、今回の素材では変換出来なかったが、別の素材では変換可能。
      撮影日が違うだけなのだが、何故か?その原因は不明 (◎_◎)?
 D)未対応のソフト
 
 元々MP4には未対応のソフト
    Mencoder_VP6 Set(→FLV):変換エラー(元素材も同じ)
    WindowsDVDメ-カ- 6.1 (→DVD):変換エラー(元素材も同じ)
   MP4には対応しているが、DMX-HD1000のFull-HDモードで撮影したMP4には未対
    応のソフト
    Dr.DivX 2.0.1b2:読み込み不可(元素材も同じ) 


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