360度動画対応の動画編集ソフトの試用

360度動画対応の動画編集ソフトの試用

=PowerDirector 15, Corel VideoStudio x10, VideoPad 5.06=
(2017.06.23作成, 18.04.26更新)
最近、360度動画の編集が可能と銘打った動画編集ソフトが販売されてきている。
360度動画を材料として
カット/ 結合程度の編集なら、通常の無料編集ソフトで実行(例えば、AVS Video ReMakerで無劣化カット/結合編集)した後に、Google提供の「360 Video Metadata Tool.exe」でメタデータを挿入すれば 360度動画として綺麗に接合(スティッチ)して再生されようになる。
そこで、360度動画対応と銘打った動画編集ソフトを使用する事の利点について、試用経験を記述した。

動画素材は Insta360 Airを用いて Androidスマホ(GALAXY Note Edge SC-01G)で撮影した 360度全天球動画(960P、8Mbps)とした(「
Insta360 Airで360度全天球の静止画と動画を撮影」を参照)
<参考>推薦の360度動画プレイヤー/ VR動画再生アプリ」を参照。
<注意> MPEG Streamclip for Windows 1.2で無劣化カット/結合編集
 
(1) Save asで出力出来ても無声となってしまう。Export Audio(MP4 AAC)で変換した音声ファイルと Yamb 2.0で合体させる必要があった。しかも、
(2) 映像の描画に不具合(再生途中で描画出来なくなる、繰り返し再生される)が発生する場合がある。
 
(a) Panotour Pro 2で配信してWebブラウザで再生こちらの 5を参照)
・ MacOS10.12の Safari11, Opera47及び iPad mini(iOS10.3.3)の Safari10, Chrome60で不具合が発生(MacOSの Firefox, Chrome及び iPad miniの Puffinは問題なし)。
・ Windows10や Android6.0.1のブラウザでは問題なく再生可能(但し、Androidの Firefoxは元々再生すら出来ない)。
(b) プレイヤー/ アプリによるローカル再生
・ Windowsの GoPro VR Player3.0.0RC1, VLC3.0.0及び MacOSの VR Player2.3.1及び iPad miniの VRPlayer PRO3.2.0で不具合が発生。
・ Windowsの VR Player2.3.1, PotPlayer1.7, GOMPlayer2.3.16及び Androidの VR Media Player1.3.1, VR Player PRO1.0.3, Homido 360 VR player1.5.2では問題なく再生可能。

A) PowerDirector 15体験版で編集した「360度動画ダイジェスト」を提示
=Panotour Pro 2.5で配信=
 
=説明=
PowerDirector 15体験版
を Toolwiz Time Freeze 2017有効下で試用した。
使い方の詳細は、メーカーページを参照。
360度動画 4編を読み込みタイムラインに登録。タイトル、トランジション、 エフェクトを追加してカット・結合の編集をした。
なお、タイトル テキストの編集はフラット モード ([360] アイコンをクリック、青から白に変化) に切り替えると、プレビュー ウィンドウから直接テキストを編集する事が出来るようになる。
 
 
出力:H.264/MP4 形式。最高出力解像度は 3840x1920/30p (縦横比 = 2:1) 。
ビットレートは自由に指定可能。今回は、1920x960, 4.5Mbpsで出力した。
 

更新・追記
B) Corel VideoStudio x10体験版で編集した「360度動画ダイジェスト」を提示
=Panotour Pro 2.5で配信=
 
Corel VideoStudio x10は、x10.5となり 360度動画スタイルで出力可能となったので更新した。
なお、Ultimate(¥18,144) は 360° ビデオの最適なアングルを指定して標準の 2Dビデオに変換することも可能(メーカーページ を参照)。
=説明= 
=編集=
PowerDirector 15と同様に、360度動画 4編をカット・結合編集した。
タイトル挿入の編集を「エクイレクタングラー から標準」画面上で出来ないので、出力する迄文字の大きさ(46)と位置を特定出来ない(PowerDirector 15のように文字の大きさをフラット モード上のプレビュー ウィンドウでリアルタイムに表示出来ない)。
なお、筆者の環境では編集中にフリーズ状態となってしまう事が多かった(体験版の機能制限の為、ハードウェアアクセラレーションを有効に出来ない)。
=出力=
360度動画:MPEG-4 AVC 360(1920x960, 30p, 15Mbps)で出力した。
 
ロゴマークなどの挿入は無く出力された。
なお、「スマートレンダリングを有効にする」にしても映像を無劣化で出力する事は出来ない。
 
又、体験版の機能制限の為に、AVC/H.264やBlu-rayビデオ等への書き出しをテスト出来ない。
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「360~標準ダイアログボックス」(メーカーのデモビデオへ)
360ビデオソースは左側に、 標準ビデオプレビューは右側に表示される。
ビュートラッカーアイコン をドラッグして、標準ビデオペインで表示したいビューに対応する場所に配置する。これを繰り返す。
 
<比較> 旧VideoStudio 12で編集した「360度動画ダイジェスト」を提示
=Panotour Pro 2.5で配信=
=説明=
2008年8月発売の Corel VideoStudio 12 Plusは、無論 360度動画へ変換出来ないが、未だ「メニュー付き Blu-rayビデオの作成」に使用し重宝している。
<コメント>旧式ムービーカメラXacti DMX-HD1000で撮影したMP4ファイルに対応している。しかし、GALAXY Note Edge SC-01Gで撮影したMP4ファイルは読み込み出来ない為、MPEG Streamclipで Export to MPEG-4...にて変換した後利用する必要がある。
(1) 今回、PowerDirector 15と同様に 360度動画 4編に対してトランジション、テロップの挿入、カット・結合編集をした。
(2) MP4, MPEGへの変換は、解像度を任意にカスタマイズ出来ずアスペクト比 2:1で出力出来ない。仕方なく、MOVへなら 1920x960で出力出来た。
(3) そして、AVS Video Converterで H.264圧縮 MP4へ再変換した後、360 Video Metadata Toolでメタデータを挿入して提示した。
<成績>
 
(1) 360度動画として綺麗に接合(スティッチ)して再生される。
(2) PowerDirector 15は、パーティクルの挿入が出来、トランジション、テロップも派手なモーション演出が可能。しかし、旧VideoStudio 12も基本的には同様なアレンジで編集出来、提示可能だった。
(3) なお、MPEG 1920x1080(比16:9)で変換後、AVS Video Converterで 1920x960(比2:1)へ変更して MP4へ再変換した場合は、メタデータを挿入しても上手くスティッチ出来ず、接合部に空白部分が入ってしまう(つなぎ目の距離が目立ってしまう)。

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C) PowerDirector 15の「ビュー デザイナー」で 360度動画を 2D動画に出力
 
=HTML5 Videoで配信=
 
 
=説明=
360度動画をタイムライン登録時に「ビューデザイナー」を選択すれば、360 度動画を動かして好みのアングルを選んで 2D動画を作成する事が出来る(メーカーページを参照、Insta360 STUDIOと同様だ)。
 
 
[表示の方向] を調整時に、キーフレームが追加され位置が記録される。これを繰り返す。
 
 
出力:今回は、標準 2Dの H.264/AVC(1920x1080, 4.5Mbps)で作成した。
<参考>体験版の制限事項
 
•利用期間制限は 30 日です。
•利用できるテンプレートの数に制限があります。
•利用できる NewBlue エフェクトの数に 10 種類のみとなります。
•WaveEditor は体験版に含まれません。
•H.264 形式の動画ファイルはご利用の PC の環境によって使用できないか、大幅な制限があります。(有料版ではご利用可能です。)
•作成されたビデオの冒頭5秒に、透かしロゴが入ります。
•2K/4K 解像度の H.264 動画には対応していません。
•H.265 形式の動画には対応していません。(有料版ではご利用可能です。)
 
フルバージョン版をご購入いただきますと、全機能をご利用いただく事ができます。
・透かしなしのビデオを作成、出力とシェアが可能
・さらに多くの編集機能やエフェクトを使用可能、2K/4K H.264/H.265 に対応
・25GB のサイバーリンククラウドを 1 年間無料利用可能
=成績
 
(1) 編集操作は直感的に可能で簡単だが、高度な機能を兼ね備えたユニークなビデオ編集ソフトだ。
(2) 体験版では、タイトルのテンプレートのダウンロード素材はインストールされるようだが、利用出来ない。
(3) 冒頭 5秒の透かしロゴ ”PowerDirectorで編集” が右下に入るが、360度動画では底に隠れて全く気にならない!
(4) 残念ながら、普通の静止画をそのまま平面(Planar)で出力投影する機能を搭載していないようだ。

  補足1) Insta360 STUDIO(無料)
 
PC用編集ソフト Insta360 STUDIO v2.8.1を用いて検証したところ、画面の視点を自在に変えた 2D動画の作成が可能。従って、撮影した人が視聴者に注視して欲しい視野の方向をプレゼンテーションするのに利用可能だ。
=HTML5 Videoで配信=
 
=補足説明= 
1) 画面の角度を正確に制御して(キーフレームの"mark" を使用して注視視点を定めて)タイムライン編集が可能。
トランジション効果(設定キーフレームを選択し、それらの間のトランジションのアニメーション効果、既定"Smooth Dissolve" )の追加やロゴの挿入も可能(本家を参照)。
解像度(1920x1080 (16: 9), 1280x720 (16: 9), 640x480 (4: 3))と画質(Superb/ Medium/ Ultra fast)の変更も可能。解像度をカスタム(数値は8の倍数)でも出力可能だが、オリジナルの解像度2560x1280で出力出来ない。
 
 
<成績>360度全天球要素を維持したまま出力出来ず、通常の2D動画(MP4 形式)となってしまう。360 Video Metadata Toolでメタデータを挿入してもダメ ?(゜_。)?
 
そこで筆者は、360°動画のカット/結合編集を通常の無劣化ソフト AVS Video ReMakerで実行し、360 Video Metadata Toolでメタデータを挿入して YouTube/ Facebookへ投稿した。
最近の市販の動画編集ソフト( Adobe Premiere, PowerDirector, FinalCutPro)は 360°動画の編集に対応していると云うが、必要か如何?
2) 本体のファームウェアのアップデートは、本体を PCに USBケーブルで繋いで本ソフト(のピンク線)で実行する(本家を参照)。記述時点ではアップデートはなかった!
 
 
 補足2) Adobe Premiere Pro CS6体験版
 
Adobe Premiere Pro CS6(¥74,800)は、非常に高度なプロ仕様の動画編集ソフト。
 メーカー紹介ムービー 展開
360度動画の編集については、公式ページ(日本語字幕付)を参照。
=補足説明=
1) 先ず[+]ボタンエディターで、[VRビデオ表示を切り替え]ボタンを追加。
2) 読み込んだ 360度動画をタイムラインに登録・・・
・・・書き出し設定:ナッ何んと!この体験版は"ビデオはVRです” とチェック出来ないので、360度動画への出力試験が出来なかった ┓(´_`)┏
 
 補足3) スーパーメディア変換!体験版
 
スーパーメディア変換!(\7,280)は、360度動画の簡易編集と出力が可能だが、タイムライン編集機能は搭載しておらず、効果がクリップ全体となってしまう。
=補足説明= 
1) ファイルを読み込み、[編集]ボタンをクリック。
2) 次いで、動画相応のビデオモードを選択。2D 360°の動画なら「2D:360°/投影:直線的」に設定
3) 透かしで、今回は「テキストのタイプ」でテキスト形式の透かしを追加
4) 通常のファイル形式(MKVへでも変換可能)以外に、VRも含めた各種デバイス用に変換が可能。
 補足4) 360度動画に対応したその他の市販動画編集ソフトには、
 
Final Cut Pro X(¥35,000) 、Pinnacle Studio 20.5 Ultimate(¥18,144)もあるが、体験版が無いため未経験。
 補足5) THETA+ Video(無料)
 
RICOH社製のスマホ用編集アプリケーションTHETA+ Video 1.41を試用してみた(メーカーページ を参照)。4種類のビューの変更が可能で、動画内での移動や動作が加わることで面白さが増す、と云う。
=補足説明= 
クロップド動画への変換には、ミラーボール、リトルプラネット、フラット及びストレートの4種類がある。
今回は「リトルプラネット」と「フラット」で出力してみた。そして、PCへ持って行って 360 Video Metadata Toolでメタデータを挿入して YouTubeへ投稿した。
(1) リトルプラネット
奇抜になるだけで、上手く360度ビューが出来ず内容が分からなくなってしまう!
(2) フラット
360度動画対応プレイヤーならマトモな360度全天球動画として再生される。
追記(2018.04.26)
 補足6) VideoPad動画編集ソフト体験版
 
VideoPad動画編集ソフト製品版(家庭版 7,499円、マスター版 13,799円)は、無料版と比べて高度なプロ仕様の動画編集ソフト。
本家サイトの「Windows版VideoPadを無料ダウンロード」から vppsetup.exe( 有料版: ライセンス無し、ご家庭での非営利目的でのご使用のみ)を入手してインストール(今回は、VideoPad Video Editor 5.06を試用した)。
なお、「無料版をダウンロード」からダウンロードすると vpsetup.exe(無料版:ライセンス不要の無料ベーシック版)が取得されてしまう(「動画編集ソフト「VideoPad」の“無料版”は、本当に無料なのか?」を参照) 。この記事によれば、” 有料版は、2週間位経過するとどんな形式でも出力できなくなる。 無料版は、10日程度経過するとwmvでしか出力できなくなる” と云う。
使い方は、本家サイトの「360度動画の編集方法」を参照。
 
 メーカー紹介ムービー  展開
360度動画の編集については、公式ページを参照。
VideoPad体験版で編集した「360度動画ダイジェスト」を提示
=Panotour Pro 2.5で配信=
=説明=
360度動画 4編を読み込みタイムラインに登録。タイトル、トランジション及び動画/音声エフェクトを追加してカット・結合の編集をした。
[動画をエクスポート]は、「ロスレスエクスポートを行う」で作成した。
<参考> 動画を再圧縮しないロスレスエクスポートを行う為には入力動画/出力動画が以下の条件を満たしている必要があります:
 
▶ H.264およびMPEG4エンコーダの動画ソースであること。
▶ 出力フォーマットが入力フォーマットと合致していること(対応フォーマットは.avi、.mkv、.mov、.mp4)。
▶ .avi、.mkv、.mov、.mp4いずれかのフォーマットであること。
▶ 出力動画と入力動画が同じ画面サイズであり、エンコーダプロフィール、レベル、extradataがあること。
ビジュアルエフェクトには対応していません。ビジュアルエフェクトが挿入されている動画は再符号化されます。
▶ シーケンスの最低10%がロスレス編集に必要な条件を満たしていること。条件を満たしている部分が10%以下の場合はエクスポート時にシーケンス全体が再符号化されます。
出力設定のプリセットには 360度動画の項目は無いが、解像度には各種解像度の360度動画及び自動検出された解像度への出力が可能(今回はロスレスでエクスポートしたので、設定はグレーとなり不可)。
<成績>元素材と出力動画のメディア情報をみると、全く無変換と云う訳ではなかったようだ?
 
 

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