RipBot264 の試用経験

RipBot264 の試用経験
RipBot264は、MPEG2-TSにも対応のMPEG-4 AVC/H.264変換ツール
(2008.07.06作成)
RipBot264 は、各種形式の動画ファイルを、iPod やPSP、AppleTV、PlayStation 3/Xbox 360
 向けの動画ファイル(MPEG-4 AVC/H.264)に変換することが可能なGUI のエンコードツール。
 H.264圧縮映像への変換に特化しており、PC向けのMP4やMKV 及びBlu-ray Disc用の
 MPEG2-TSを作成することも可能。
<機能詳細>
 ・iPod, PSP, PS3, Xbo360, HQ またはカスタムプロフィールのビデオにエンコード。
 ・MPEG-4(*.mp4), Matroska Video (*.mkv)コンテナのMPEG-4 AVC/H.264ビデオの作成。
 ・AVC Level、deblocking(デブロッキング) 、Macroblock などのコーデックオプション。
あらかじめ各デバイス向けのプロファイルが登録されているため、難しい操作や設定をほとんど
 必要とせずに使用する事が可能。
又、
インターレースの解除、画像サイズ変更、色調補正、音声入れ替え、音ズレ修正 などの
 簡単な動画編集機能も備えておりPC向け用途にも利用が可能。
そこで今回は、シネスコサイズのMPEG2_MP2.mpgを素材として、
 MPEG-4(H.264_AAC.mp4)ムービーに変換して、Web配信用途に利用可能か試用してみた。

 RipBot264 の入手とインストール
 入手先: こちらから (今回は RipBot264 v1.10.3を使用)。日本語化はこちら から入手。
 
 RipBot264v1.10.3.7zを解凍して、適当な場所に配置すればよい。
  今回はWindows Vista環境で使用した。
  RipBot264.exeをダブルクリックすると、必要なコンポーネントがインストールされていないと
  以下のダイアロッグが表示される。
   筆者の環境にはFFDshow rev1685がインストールされていたが、 rev2014以降が必要
     と警告されたので、FFDshow rev2026_2008625_clsidを上書きインストールした。
    Windows XPでは.NET Framework も動作に必要との事だ。
追記(2009.01.xx)
 RipBot264 v1.12.0に久しぶりにアップしてみたところ、
   UACを無効にしないと使用出来ない。M2TSファイルの読み込みが出来なくなっていた。
追記(2009.03.xx)
 RipBot264 v1.13.3では改善しているかと期待したが、
   M2TSファイルは読み込めない。TSファイルは無声のままだった。
追記(2010.05.xx)
 RipBot264 v1.15.1では
上記不具合は解消していた(管理者として...実行)。
追記(2010.10.xx)
 RipBot264 v1.16.2では、
M2TSファイルは読み込めるが TSファイルは読み込めない。

  WebMの利用が可能となっていた。
  <注意> MKVToolnixがインストールされているとRipBot264同梱のMKVToolnixを利用
    出来ない為に、音声がVorbisのMKVとWebMは映像のみ読み込まれるが音声は読
    
み込無声の変換となってしまう。

 RipBot264対応フォーマット形式(本家の記載)
avi、divx、flv、mpg、m2t、mp4、mkv、ts、wmv、vob、evo、
m2ts、mts 形式の動画ファイル

入力ビデオ形式
 AVI(*.avi), MPEG-1(*.mpg), MPEG-2(*.ts *.m2t), MPEG-4
  (*.mp4), Matroska Video (*.mkv), DVD(*.vob)  
入力オーディオ形式
  PCM(*.wav), AC3(*.ac3), DTS(*.dts), OGG Vorbis(*.ogg),
  MPEG(*.mp3 *.mp2 *.mpa), Advanced Audio Coding(*.aac
  *.m4a)
筆者が手持ちの素材を用いてRipBot264 v1.10.3検討した結果は、以下の通り
 今回は .MP4形式への変換に限定して検討した。
利用可能なファイル形式
  AVI :DivX5.21_MP3.avi、XviD_MP3.aviH.264_MP3.avi 、3ivx4.51_MP3.avi、
      WMV9_MP3.avi、VP6_MP3.avi
  MP4:ISMAMPEG4_AAC.mp4、XviD_AAC.mp4、H.264_AAC.mp4
      Xacti DMX-HD1000のFull-HDモードで撮影したH.264_AAC.mp4も可能だ!
      但し、DECIMMATE ->23.976FPSに、OUTPUT SPEED ->23.976FPSに設定し
        ないと、映像が2倍位高速となって1.7回位再生し音声解離してしまう。
  MPEG:MPEG1_MP2.mpg、MPEG2_MP2.mpg、MPEG2_AC3.vob
  MKV:DivX5.21_Vorbis.mkv、XviD_Vorbis.mkv、H.264_Vorbis.mkv、WMV9_Vorbis
       .mkv、VP6_Vorbis.mkv
  FLV:Sorenson_MP3.flv(FLV1)、VP6_MP3.flv(FLV4)
  Other:DivX6.11_MP3.divx、WMV9_WMA9.wmv
  MPEG2-TS:MPEG2圧縮型以外に、H.264圧縮型のMPEG2-TSにも対応している!
    Panasonic製のビデオカメラ HDC-SD9のHGモードで撮影したH.264_AC3.MTS
    ブルーレイのビデオ作品Bから AnyDVD HDでリッピングしたH.264_AC3.m2ts
    DVD MovieWriter 5 BD for I-O DATAのBDMV形式で作成したMPEG2_AC3.m2ts
    DVD MovieWriter 5 BD for I-O DATAのBDAV形式で作成したMPEG2_AC3.m2ts
    Total Media ExtremeのBDMV形式で作成したMPEG2_AC3.m2ts
    Total Media ExtremeのBDAV形式で作成したMPEG2_MP2.m2ts
  PT1で録画したMPEG2_AAC.tsについては、  こちらを参照。
利用出来ないファイル形式
  サポート外:RM、NSV、MOV、OGM、SWF
  次のAVI :BI-RGB_PCM.avi、HFYU_PCM.avi、MsMPEG4v2_MP3.avi 及び時に
        XviD_MP3.aviH.264_MP3.avi
  次のMKV :RV10_RA8.mkv、3ivx4.51_Vorbis.mkv
  次のMPEG2-TS:DVD MovieWriter 5 BDのAVCHD形式で作成したH.264_AC3.m2ts
XviD_MP3.aviH.264_MP3.avi は作成方法によって利用出来ない場合がある。
 下図は、XviD_MP3.avi を例に真空波動研で解析したが、その理由を解明出来ない。
   ○印:利用可能、×印:利用不可。
 下図は、同じ XviD_MP3.avi を GSpot v2.21で解析した。
   インターリーブ(映像と音声を交互に、通常5〜30フレーム毎に記録する方式)されている/
   されていない事も関係なさそうだ。

 RipBot264 の変換操作手順
RipBot264.exeをダブルクリックすると、「Start」画面が表示される。
先ず、画面右下にある「追加」ボタンをクリック。
「New Job」画面が開く。
 素材の読み込み:「VIDEO」欄で 変換したい動画ファイルを指定して読み込む。
  複数ファイルを同時に読み込む事は出来ない。
  今回は特に断っていない場合は、シネスコサイズのMPEG2_MP2.mpgを使用した。
  素材を読み込んで少しすると、全ての項目にデフォルトの設定値が自動で入力される。
  なお 下図は、デフォルト値を下記の如く カスタマイズ(赤線部分)した状態を示した。
  「SAVE AS」欄で変換するフォーマット形式を 「OUTPUT」欄で出力先を指定しておく。
ビデオの設定
 「PROFILE」欄で、動画のプロファイルレベルを選択する。
   目的とするデバイスを選択するか、
   PC 用の動画にする場合は、「level 4.1」を選択した後に ボタンをクリックすることで、
     該当プロファイルをカスタマイズする。 今回は「level 4.2」を選択してみた。
     なお、カスタマイズした設定を下段右欄に適当な名称を入力して保存する事が可能だ。
 「MODE」欄で動画の変換方法を選択する。
   品質指定の「CQ」(1-Pass)か
ビットレート指定の「2-Pass」のどちらかを選択する。
   「CQ」でエンコにする場合は、「CRF」欄で動画のクオリティを選択する。
     数値が小さいほど画質は良くなるが、その分ファイルサイズが大きくなる。
   「2-Pass」でエンコする場合、「KBPS」欄で動画のビットレートを指定する。
     2-Passにすると、変換先のファイルサイズを大体指定することが可能。
   今回は、2-Passの 手入力で436Kbps(映像+音声=Total 500Kbpsを目標)とした。
 「プロパティ」ボタンをクリックすると、
 「Picture properties」画面が表示される。
   インターレースの解除、トリミング、画像サイズの変更、色調補正(色合い、彩度、明るさ、
   コントラストの調整)や字幕 などの簡単な動画設定を行う事が出来る。
  「Picture properties」画面の各タブ
   <参考>クロップ&リサイズ方法
     720x480のDVD素材(VOBファイル)を640x272のシネスコサイズに変更したい場合を例
     に提示する。
     CROPでManuallyを選択し、SIZEをCustomにして、下右図の如く目的の削除範囲と解像
     度を入力する。
     リアルタイムに削除範囲を見ることは出来ないが、「スクリプトをプレビュー」ボタンを
     クリックすると、Media Player Classic 6.4.9.0が起動するので確認出来る。
オーディオの設定
  音声入れ替え、音ズレ修正などは可能だが、サンプルレートの変更は不可
  「PROFILE」欄で音声のビットレートを選択するが、少数のプロファイル以外にカスタム設定
    して数値で指定する事は出来ない。
    今回は 64kbps を選択した。
  「DELAY」欄では、音ズレを修正する値 (ミリ秒)を入力する。
    音が映像よりも進んでいる場合は、正の値(例 「200」)を、音が映像よりも遅れている
    場合は、負の値(例 「-200」)を入力。
  「NORMALIZE」欄で音声をノーマライズ(音量を歪まない程度上げる又は下げること)。
  <参考>選択出来るプロファイルについて
    上図は素材:MPEG2、出力:.mp4の場合だが、用いる素材と出力する形式によっては
     選択可能な形式が異なって来る(下図)。
    *MKV に変換する場合、元の素材によっては音声をそのままコピー出来る場合もある。
最後に、「New Job」画面の右下にある「Done」ボタンを押して実行する。
 他にも変換したい動画がある場合は、同様の手順で変換の設定を行う。
設定が全て完了したら、「Start」画面右下の「start」ボタンをクリック。
→登録したファイルの変換処理が実行される。複数登録してあると順次変換される(下図)。
・・→ステータスバーに「ALL Jobs Finished」と表示されたら変換終了。

 結果
1)本ソフトの映像圧縮・変換は、H.264に特化している。
 1-1) .mp4形式で出力した場合は、H.264_AAC圧縮ファイルとなる。
RipBot264で変換したH.264.mp4の配信テスト
  (498Kbps,1分)
Embed方式→ここから
Stand方式 →ここから
Web Serverから疑似ストリーム(Faststart再生)配信が一応可能なようだが・・・
QuickTimeでの再生は、初期の映像脱落と転送レートが表示されない等の不具合が
あり、Web配信用途に使用するには問題がある。
*ムービーを視聴するには、QuickTime7以降が必要です。
 1-2) .mkv形式で出力した場合は、H.264_AAC又はH.264_Vorbis圧縮ファイルとなる。
 1-3) BLU_RAY_DISC形式で出力した場合は、 「BDMV」と「CERTIFICATE」フォルダ作成され、
     STREAMフォルダ内の動画ファイルの形式は H.264_AC3圧縮のm2tsファイルとなる
    (ここを参照)。
2)素材として利用可能なファイル形式は多岐に及んでいる(成績は上に記述した)が、
  AVI とMKVファイルは素材元によって利用出来ない場合があった。
  特記すべきは、Xacti DMX-HD1000のFull-HDモードで撮影したH.264_AAC.mp4も可能な事
  とH.264_AC3圧縮型のMPEG2-TSにも一部対応している事だ。
しかし本ツールは、
 3)映像圧縮の設定はかなり詳細にカスタマイズする事が可能だが、音声のサンプルレートの
   変更が出来ず、ビットレートの設定も限定される。
 4)インターレースの解除、画像サイズ変更、色調補正などの編集機能を持っているが、カット
   編集や複数動画の結合機能を搭載していない。

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