低出費でMPEG2からH.264へ変換

低出費でMPEG2からH.264へ変換
QTCut、iSquintでMPEG2 から Web配信用H.264.mov/mp4へ変換
=QuickTimeProへアップグレードする必要は無いか?=

(2006.05.10作成
 
QTCut iSquint の ffmpegMPEG2再生コンポーネント(有料 2,400円)
 
QTCutは、本来 QuickTimeムービーの余分な箇所をカットして、QuickTimeのPro(3,400円)機能を
利用して多様なフォーマットで書き出す為のMac用無料ツール。
本ソフトは、ffmpegを利用したMPEG2ファイルの分割と再結合機能も実装している。又、QuickTime
ムービーを素材とした一括予約変換機能を搭載しているので、MPEG2の統合ファイル(m2v_aiff.mov)
をQuickTimeムービー(H.264_AAC.mov)へバッチ変換することが可能かを検証してみた。
 
必要なツールは上記から入手(今回 QTCutは 1.0bを、iSquintは 1.4.2を使用)。
   MPEG-2(AC3):MPEG2/VOBファイルの読み込みには、「MPEG2再生コンポーネント」が必要。
使用方法は、ソフト付属のヘルプに詳しく解説されている(ヘルプは、ここを参照)。
今回は、MPEG2_MP2.mpgファイルからH.264_AAC.movファイルへの変換についてメモした。
 A) 単一ファイルの変換
   ファイル>「MPEG-2(AC3)ファイルの読み込み」で、MPEG2ファイルを映像(.m2v)と音声(.aiff)に分割
  ファイル>「分割したファイルの結合」で映像と
     音声を再結合
  メイン画面で[そのまま確定]→[書き出し]ボタン
     をクリック

   書き出し画面で「ムービーからQuickTimeムービー」を選択し、[オプション]で目的 (H.264_AAC.mov)
     のムービーとサウンド設定をする。サイズはカスタム、例えば640x272とし「指定のアスペクト比
     を保持」をチャックしない。
   [保存]ボタンをクリックして変換を開始する


B) バッチ変換
  素材収納用のQT_Preフォルダに下記に記述
   した統合ファイルm2v_aiff.movを入れる
  ファイル>「ムービーを開く」で1ファイル登録
  編集>「予約設定」で「一括予約変換設定」
   を表示して、読み込み/書き込みフオルダ
   を指定
   変換形式に「QuickTimeムービー」を選択
   して、詳細設定で目的の圧縮設定を行う
  最後に変換開始時刻を指定して[設定]ボタン
   をクリックして変換を開始する

  →「ムービーを前処理中」と表示されて、
   進行が停止したようになるが・・・
   変換が終了する迄ひたすら待つ
 
  統合ファイルm2v_aiff.movの作成について
   QTCut上でファイル>「分割したファイルの結合」で映像と音声を再結合して、[書き出し]をムービ
   ー(独立型)にて統合されたm2v_aiff.movファイルは、アスペクト比情報に不具合が生じて(例えば
   640x272シネスコサイズの場合は自動的に320x224となって)しまう。
   そしてこの統合ファイルをH.264_AAC.movに変換する際に、たとえ変換形式:「詳細設定」のカ
   スタムサイズで640x272に設定しておいても、何故か 320x224サイズで出力されてしまう!
  そこで、
   別途QuickTimeProで下記手順の如く、QTCutで分割した映像と音声を統合して独立再生形式
   で保存したm2v_aiff.movファイルは、問題なくバッチ変換される。
   <参考>QuickTimeProで統合する手順:
    ".aiff"ファイルを開き、「編集」/「すべてを選択」→「編集」/「コピー」を実行する。
    次に「ファイル」/「ムービーを開く」で".m2v"ファイルを読み込む。
    続いて 、「編集」/「選択範囲に調整して追加」を実行すると".aiff"ファイルと".m2v"ファイルが
    統合される。

    「ファイル」/「保存」で、「独立再生形式のムービーとして保存」する。
なお、ファイル>メニューにある「MPEG2からQuickTime Movieへの変換」は、ffmpegを利用して簡易
  にMPEG2をMPEG-4_AAC.movに出力するだけのもので圧縮設定をカスタマイズすることは出来ない。
 
 結果
1) QTCutは、無料でQuickTime Proの書き出し機能が使えてしまう?
QuickTime Proの書き出し
QTCutの書き出し
QTCutの予約設定の変換形式
 下線は導入したQuickTime
 コンポーネント
 Save as AVI が無い
 Save as AVI が復活した以外にも、
 赤線の変換方式が追加されるが、
 何者なのかは不明
 但し、筆者のQuickTime環境は QuickTime7 Pro+MPEG2再生コンポーネントとなっており、OSX10.4
  環境ではアンインストール試験が出来ない為、スタンダード版環境での検証は出来ていない。

 2) QuickTimeProを用いてMPEG2ファイルをQuickTimeムービーにするには、bbDEMUX
   Mad audio encodeを経由する必要があり複雑だが(ここを参照)、QTCutは単一ファイルの変換
   では、一つのソフト上で出来てしまう(無論、bbDEMUXMad audio encodeを経由した分離ファ
   イルの利用も可能だが、無駄なことだ)。
 3) QTCutは、QuickTimeProに不足しているバッチ変換機能を搭載しているが、残念ながらシネスコ
   サイズのMPEG2を扱う場合には、分割した映像と音声を別途 QuickTimeProで統合する必要が
   あった。
 4) QTCutでバッチ変換されたMOVファイルは、QT MPEG4 Exporterのように"映像の位置が右に
   ズレてしまう"(ここを参照)という不具合を生じなかった。
 QTCutで変換したH.264.movの配信テスト(493Kbps,39秒)    ここから

Web Serverから疑似ストリーム(Faststart再生)配信が可能。転送レートの調整も容易だ。



iSquint 1.4.2
iSquintは、様々な形式の動画を ffmpegエンジンを利用して iPod用 又はTV用のMPEG-4に素早く
変換するための無料ツール。.flv、.mov、.mp4、.avi、.dv、.mpg、.vob、.3gp、.asf、.wmv、.m4v
形式のファイルからの変換をサポートしており、バッチ変換も可能。
TVとH.264を選択して変換すれば、H.264_AAC.mp4で出力される。詳細設定でサイズと転送レートの
カスタマイズは可能だが、複数回エンコードの設定は出来ない。
又、転送レートの調整は難しく、画質を標準→最高にするとビットレートが増加するし、640x272サイ
ズ大の場合は 540Kbps位(少し長いと620Kbps位)以下に圧縮することが出来ない。
 iSquintで変換したH.264.mp4の配信テスト(542Kbps,36秒)    ここから

Web Serverから疑似ストリーム(Faststart再生)配信が可能だが、転送レートの調整は困難。



= 補足 =
携帯動画変換ちゃん 0.34.9+ffmpeg →携帯動画変換君 0.34は有用か
携帯動画変換君は、ffmpegQuickTimeとを利用してMPEG/AVI/FLV形式などの動画ファイルを、
モバイル上で再生可能な動画形式に変換するWindows用のソフト(ここを参照)。
携帯動画変換ちゃんは、この「携帯動画変換君」の設定データの資源を有効利用出来るように作成し
たMac用無料ツール。
インストールは チョロット一手間要るが、本家Hpの「インストール」手順に従って行えばよい。
今回は、「機種」には「MP4ファイル, H.264(MPEG4/AVC)PC向け一般設定」を選択し、「出力」には、
[設定を編集]ボタンからサイズと転送レートをカスタマイズして、「640x272 500kbps 最大30fps」を
作成して変換した(ここを参照)。但し、2-passエンコード設定をしなかった。
トータルの転送レートを500kbpsに設定しても、不測の604Kbpsで出力される。
 携帯動画変換ちゃんで変換したH.264.mp4の配信テスト(604Kbps,36秒)    ここから

Web ServerからFaststart再生不可、転送レートの調整も困難。

なお、本ソフトは iSquintとともに FLV動画を他の形式に変換することが出来る貴重なツールだ。

MPEG Exporter TNG 2.5+ iSquint 1.4.2の ffmpegは有用か
MPEG Exporter TNGは、様々な形式の動画を ffmpegエンジン及びQuickTimeのPro機能を利用
してMPEG-1/-2/-4に変換する無料ツール。
複数のMPEG2ファイルを直接、iPodや携帯電話互換各種MPEG-4形式にバッチ変換可能だ。出力に
MPEG-4のプリセット「H.264 QuickTime」を選択すれば、オリジナルサイズのH.264_AAC.mp4
へ変換出来る。しかし、転送レートのカスタム設定は出来ず不測の1,425〜2,846Kbpsで出力される。

 
MPEG Streamclip 1.7は有用か
MPEG Streamclip 1.7は、MPEG1/MPEG2 (MPEG2-TS含)ファイルを、無劣化映像と音声に分離
/合成したり、QuickTime, DVストリームやAVI形式へ変換出来る無料ソフト。
MPEG2からH.264_AAC.movへの変換も可能だが、Web上Faststart再生は不可(ここを参照)。

ReelBean 1.2QuickTime Pro変換機能を盗用出来る!
ReelBean Playerは、QuickTime Pro変換機能一部無料で利用することが可能Quick
Time依存のプレイヤー兼コンバータ

v0.99からv1.2になってMPEG2からH.264_AAC.movへの変換も可能となり、Web上疑似ストリ
ーム(Faststart再生)配信も可能だ(ここを参照)。

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