StaxRipでDVDをH.264圧縮MP4へ変換

StaxRipでDVDをH.264圧縮MP4へ変換
 
StaxRipで変換したH.264_AAC.mp4ファイルは、QuickTimeで再生不可
(2007.06.25作成)
StaxRip はDVDやDVB, DVキャプチャなどのソースを H.264, DivX, Xvid /AAC,MP3, AC3,
Ogg Vorbisコーデックを使用したMP4, AVI, DIVX, MKV動画に圧縮・変換することが出来る
オープンソースのDVD圧縮変換ツール。
そこで、Windowsでは扱いにくいが最近注目のMP4(H.264_AAC.mp4)形式への変換を検証
してみた。
今回は、DVDビデオ(片面2層 ビスタサイズ 16:9 スクイーズ収録、5.1chAC3二重音声:英語,
 日本語吹替、二重字幕)の本編 2時間01分を、
StaxRip 1.0.0.1を使用して
 CD一枚分(容量:700MB、解像度:544x304)に圧縮変換した。
マシン環境は、Intel D945GNT、PentiumD830 3.0GHz、DDR2-667, 1GBx2、GeForce 6600GT
  (VRAM 128MB) で、主にWindowsXP_ProSp2を使用。Windows Vista Ultimateも試用した。
DVDのリッピングは、DVD Decrypterを使用した。素材に用いたDVDVの構造は、ここを参照。

 特徴
StaxRipは、AviSynth(映像/音声ファイルをアプリケーションに渡すスクリプト言語)、
BeSweet(コマンドラインの音声ファイル変換ツール)、DGIndex(VOBファイルを映像/音声フ
ァイルに分離)、MP4Box(映像/音声ファイルを多重化してMP4コンテナに格納)などの外部
アプリケーションを借用する作りとなっており、
StaxRipのインターフェースから各ツールをダウンロード/インストールする事が可能となってい
る(わざわざWebブラウザでダウンロードする必要はない)。
コンテナもMP4, AVI, DIVX, MKV形式と多彩で、Avisynthのプラグインがそのまま使える点
は便利。
但し、字幕を付けて変換を行うには、フリーソフトウェアの「Vobsub」や「SubRip」などで、DVD
ビデオ本体から字幕をデータとして吸い出したうえでSubRipで結合する必要がある等、使い
切るには上級の知識を必要とする。

 入手先及びインストール
StaxRip v1.0.0.1は、ここから 入手。
 StaxRip_1.0.0.1.zipをダウンロード。適当なところ(筆者はC:\Program Files)に解凍して使
 用する。
 Windows XPの場合
   ソフトの動作にはMicrosoft .NET Framework 2.0 が必要。
     Windows Updateのカスタム:追加選択の更新プログラムからインストールするか、
     Microsoft .NET Framework Version 2.0 再頒布可能パッケージ(こちら)から入手
 Windows Vistaの場合は .NET Frameworkを特に用意する必要はない。
   Vista上では、StaxRip.exeを「管理者として実行する」にチェックすればH.264_AAC.
    mp4
への変換は可能だ。
    「YV12 Decoderの有効化」の設定が必要な時に・・・
    「管理者として実行する」が未チェ
    ックだとレジスト出来ず、エラーと
    なってしまう。
   
 <参考>Vista上でXvid_MP3.avi
    への変換は、途中右のエラー
    となって実行出来ないが・・・

    →VirtualDubMode.exeを「管
      理者として実行する」にチェ
      ックすれば変換可能だ。

 リッピングの可否
予めDVD Decrypterなどでリッピングしておく必要がある。
IFOモードで本編のみを 1ファイル(VTS_01_0.VOB)で出力すると便利。
FILEモードで出力した場合は、VTS_01_1.VOBを選択しても不都合が多い。
 変換可能な素材
VOBファイル(「VIDEO_TS」フォルダ内などの)
*StaxRipは、読み込んだVOBファイルと同じフォルダに多数の中間ファイルを作る仕様とな
  っており、光学式ドライブにマウントしたDVDメディアからのVOBファイルは利用出来ない。
ISOイメージファイルやIFO情報ファイルは利用出来ない。
 出力可能なコンテナ形式
AVI, MP4, MKV (Matroska), DIVX

 初期設定
StaxRipは、初回起動時にデフォルトの環境設定を決めるウイザードが起動される。
その内容は、以下の1)〜3)項目とStaxRipのアップデートチェック。
1)設定ファイルの保存先
 特別な理由がな
 ければ、StaxRip
 のインストール先
 フォルダ以下を
 指定する
 「Startup」を選
 択する。
2)H.264形式の映像を格納するコンテナ形式の指定
 通常は、汎用性
 の高い MP4形式
 を選択する。
3)デフォルトで用いる映像コーデックと簡単なプリセット設定
 今回は、最終ファ
 イルサイズの大き
 さで出力する
 x264 Exact Size
 を選択。
なお、ファイルコンテナや映像コーデック関連は,後からでも変更が可能だ。

 必要な外部ツールのインストール
StaxRipが起動した
ら、先ずはメニュー
バーの「Tools」-「E
xternal Application
s」を開いて、
必要とする外部ツ
ールをダウンロード
/インストールして
おく。
External Applicati
ons画面のツール
バーにある「Chec
k」をクリックすると
、「Problematic
Applications」とい
う画面が表示され
、インストールして
いないツールやバ
ージョンが古いツ
ールが一覧表示さ
れる。

右は筆者のXP環
境での表示。
Vista環境では、こ
れら以外にも
「AviSynth」と
「AutoCrop」の必
要がリストアップ
された。
 例えば、「BeSweet」をクリックすると,External Applications画面がアクティブになり、
  該当する外部ツールの情報が示される。ツールバーの「Download」をクリックすれば、
  外部ツールをダウンロード出来る。又、ダウンロードした後にインストーラが自動で
  実行されるので、画面に従ってセットアップを完了すればよい。
 ダウンロードした外部ツールは、StaxRipを解凍したフォルダ以下の「Settings」/「Downloads」
  フォルダに保存される。
  下図は筆者のXP環境での表示。Vista環境では、これら以外に「AutoCrop_1.1」と「Avisynth
  _257」がダウンロード/インストールされた。
  なお、StaxRipで動画ファイルを読み込んだり、何らかの設定を変更した場合、必要に応じて
  インストールされていない外部ツールが表示される作りとなっている。
  <参考>XP上で Xvid_MP3.avi への変換を実行しようとしたら、VirtualDubModの更新と
        Matroskaから AVI-Mux GUI 又は MKVToolnix への乗り換えを推奨されたが、
        VirtualDubModのみインストールして実行した。

 変換方法
1)素材VOBファイルの読み込み
 StaxRipを起動し、
 「Source」エリアの右にある「..」ボタンをクリックする。
 「Source Files」のダイアログが表示されるので,「Add」ボタンをクリックして変換元のVOB
 ファイルを選択する。
  IFOモードで本編のみを
  1ファイルで出力してい
  る場合は問題ないが、
  FILE モードで出力した
  場合は、DVD再生ソフト
  を利用して、映像本編と
  思われるVOBファイルを
  全て読み込む。
 なお,Source Filesのダ
  イアログの左下には、
  プルダウンメニューで
  3つの処理モードが用
  意されているが、
  デフォルトの「combine
  files」でよい。
  このモードは、複数のソースファイルを連結して、1つの動画ファイルで出力するものだ。
  *「file batch」:複数のソースファイルを連結せずに個別の動画ファイルとして出力する。
    「directory batch」:複数のフォルダを一括処理する(フォルダ内のソースファイルは
     連結して出力する)。
 →「OK」ボタンをクリック
  すると、DGIndexが起
  動して、解析や映像と
  音声の分離等が行わ
  れる。読み込みが完
  了する迄に、2時間の
  本編では 6〜7分を
  必要とした。
  *ファイルコンテナや映像コーデック関連の変更
    メニューバー「Profiles」では、映像/音声コーデックとファイルコンテナの切り替えや、
    より詳しい設定が用意されている。
    例えば、映像コーデック関連の変更は「Profiles」メニュー「Encoder」から指定する。
2)「Source」エリアの「Anamorphic」のチェックを外す
3)「Target」エリア
  3-1)出力先のフォルダとファイル名を指定する。
     変換が完了しても、素材元に多くの中間ファイルが作成されたままとなるので、今回は
    初期設定を変更せずに、VTS_01_1.mp4のままで実行する事とした。
  3-2) 「Size」:最終出力サイズは、650MB, 700MB, 800MB,1/3DVDから選択する。
          今回は700MBとした。
4)「Resize」エリア
  単純にスライダーを移動して変更すると、縦横比が上手く調整出来ない(縦長になってしま
  う)不具合があるようだ。
  今回は、540x304(=1.776)に設定したのだが・・・後述する如く、自動で変更され不可解だ!
5)「x264 Exact File Size | MP4」エリア
 映像コーデック/コンテナの設定をここで行う。
 5-1)「Codec Configuration」をクリックす
   ると設定画面が開くので,エンコードのモ
   ードを変更する。
   このツールはエンコードに時間がかかるの
   で、今回は、「Two Pass」→「Single Pass
   -Bitrate」に変更した。


   *Single Pass-Quantizer:20を推奨する
    文献があり、それで実行してみたら最
    終サイズは、1,045MBとなった。
 5-2)「Run Compressibility Check」をク
   リックすると、圧縮可能性がテストされる。
   →完了する迄に 8〜9分かかった。
    Quality:0%→51%
    Compressibility:0.00→0.29
    となったが・・・
    横縦が544x384(=1.417)となってしまう!
    ここでもう一度540x304(=1.776)に設定
    直すと、
Qualityは→65%となる。
    
Filterの設定を適正化せよ。解像度とビット
    レートを
訂正せよ。
    と
画面下のメッセージ警告される。
    Too High Quality
      Please increase the resolution or decrease the bitrate. A too high quality values
      might produce a unnecessary large target file.
  →構わずに、次へ進める事とする。
6)「Container Configuration」
  をクリックすると,MP4の設定画
  面が表示される。
  ここでの設定内容は字幕ファイ
  ルとチヤプターファイルの挿入
  だが、いずれも別途用意する
  必要がある。
  今回は、チヤプターの挿入は
  無論の事、字幕の挿入も諦め
  た。
7)「Audio」エリア
  音声コーデックの設定は、右のプルダ
  ウンメニューで行う。
  使用するコーデックのほか,ビットレー
  トなどの設定がいくつかプリセットされ
  ている。

  「Source File」メニューで、
  複数言語の吹き替え版が収録された
  場合は、読み込み時に分離された目
  的の言語の音声ファイルを指定する。

  「AAC」メニューで音声コーデックのビッ
  トレートは、今回「HE VBR50-70kbps」
  とした。
  なお,「Profiles」メニューでは、
   音声コーデツクのプリセット値を編集したり、
   新規のプロファイルを作成することも可能。
   但し、コマンドラインのパラメータ設定なの
   で、上級の知識が求められ面倒だ。
8)クロップ及びカット編集
   少し分かりにくいが,画面下のメッセージで
   「Please click here〜」と書かれている場所
   をクリックする。右下の 「Next」を押す毎に、
   設定項目が切り替わっていく。
  最初はクロップ(Crop)で、映像の上下左右
   から黒枠を除去出来る。
  次にカット編集では、開始点と終了点をマー
    クし削除出来る。
   なお、「Next」をクリックした後は,前の項目
    に戻れない不便さがある。
  今回はクロップ及びカットはせずに、「Next」
   →「Next」と進んだ。
9)最後に「Next」をクリックすると、
  これまでの設定が「Jobs」画面に
  登録される。
  「Close」をクリックして、新規にプ
  ロジェクトを作成し、複数のジョブ
  を登録する事も可能。


  「Start!」ボタンをクリックすると、
  BeSweet, x264.exeなどが起動し
  て変換が始まる。
  処理した後に Windowsを自動で
  「Shutdown」、「Stanby」する事が
  可能だ。
→最後にMP4Box.exeが起動して、映像/音声ファイルを多重化してMP4コンテナに格納される。
 最終的に出力されたファイル類は、以下の通り(中間ファイル類が残存してしまう)。

 結果 :
1)外部ツールインストール作業は多種類にわたるが、意外と簡単に完了する。
  DVD変換操作は項目が多くて複雑だが、全容を把握すれば整理された作りとなっている。
  問題点は、
  ・古いバージョンの外部ツールはことごとく(AviSynth, XviD, x264, VirtualDubMod, DivX等)、
   アップインストールを余儀なくされた。
  ・字幕を簡単に挿入出来ないのは残念だ。
  ・HandBrakeと比較して、H.264圧縮に長時間必要とする事は難点だ。
  ・解像度の設定は迷うところで不可解。ソフト任せにすると今回の場合は縦長になってしまう。
  ・変換されたMP4ファイルは何故か?QuickTime
   Playerで映像再生出来ない!

  GOM Player, VLC Media PlayerやMPlayer GUI
   では再生可能。
  Windows Media Player等 DirectShow に対応
   している多くのメディアプレイヤーでも 、例えば
   MatroskaSplitter+H.264デコーダ+AACフィルタ
   を用意すれば再生可能だ。
2)エンコードに必要な時間: 2時間の本編を 1-Passエンコードで 3時間10分もかかて変換。
 <参考>Xvid_MP3.aviへの変換: 2-Passエンコードでも 1時間32分で変換が可能。
3)解像度:544x304。容量:699MBと目標通り。
4)今回の設定条件で出力される映像の画質は Good・・・「無料DVD変換ツールの比較」を参照。
5)H.264_AAC.mp4変換とXvid_MP3.avi変換の画質比較
  圧縮形式以外は、解像度、完成ファイルサイズを同じにして変換した。
   Xvidの圧縮:初期設定のままで、Profile:unrestricted, Bitrate:672Kbps, 2-パスエンコード
   MP3の圧縮: VBR 110-150kbps
圧縮変換形式
動きの速いシーン
動きの遅いシーン
H.264_AAC.mp4
(1-Pass)

画質はGood

↑フルスクリーン
Xvid_MP3.avi
(2-Pass)

画質はSo-So

動きの速いシーン
ではノイズが出現

↑フルスクリーン

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