FileXCで動画ファイルのP2P送信

FileXCで動画ファイルのP2P送信
 
大容量ファイルを配信できるMSN メッセンジャー補助ツールFileXCは有用か?
(2005.01.20作成 )

MSN メッセンジャーのファイル転送はセントラルサーバ経由の為、送受信には極端に時間がかかる。又、複
数のファイルを送る場合に、1つ1つ受信側の認証を得なければならない等不便な点が多い。
FileXC(File eXChanger)は、バージョン5以降のWin版MSNメッセンジャーを補助するP2P(Peer to Peer)
ファイル送受信ツールとして開発され、MSNメッセンジャーと連動して利用することが出来る。
このシステムは中継サーバを経由しないので、容量制限はなく高速にファイル転送が可能で、本格的なファイ
ルサーバを運用しなくとも大容量ファイルの交換が可能となる。 又便利なレジューム機能も搭載している。
現在Virsion2.0がリリースされており、前バージョンのVirsion1.11よりも軽快に動作するということだが、環境
によってうまく接続出来ないことがあると云われている。 
私の環境でも、Virsion2.0はコレガルータBAR EXの設定をDMZ(De-Militarized Zone:非武装地帯)にしない
と接続出来なかったので、今回はVirsion1.11を中心に記述してみた。

通信環境:
送信側;CATV(実測上り4Mbps前後)、コレガルータBAR SW-4PHG使用。
受信側;FTTH(実測上り18Mbps前後)、コレガルータBAR EX使用。
使用マシーン:
送信側;VAIOPCV-RX70(PentiumIII 1GHz)、Windows2kProSP4/XPProSP2
受信側;VAIOPCG-GRX81(PentiumIV 1.7GHz)、WinXPProSP2
 いずれもNorton Internet Security(NIS)2004を使用。
*MSN メッセンジャー6.2を使用したが、サインインしなくてもFileXCを単独で使用することは可能。

問題点と注意するポイントは赤色で表示した
I. インストールと前準備

1) FileXCの入手先は、http://www.filexc.com/indexj.html(06/11リンク切れ)
  21日間の試用期間後、使い続ける にはライセンス(ペア・ライセンス料14.99ドル)が必要
  送信側・受信側双方共インストールが必要。
  なお、FileXC1.11とFileXC2.0の同時インストールは可能。
2) FileXCを実行するには、 .NET Framework(
36.15MB)±Japanese Language(3.08MB)環境が必要

  FileXCのインストール段階で下の警告が表示される。「はい」 をクリックすると、
  Microsoft.NET Frameworkの
  ダウンロードセンターに接続
  されるので、指示に従ってイ
  ンストール。
  Win2kはJapanese Language
  がインストールされていない
  と使用時に警告が出る。

3) Norton Internet Security(NIS)のプログラム制御に、msdtc.exeとFileXC.exeを追加登録

 3-1)Microsoft Distributed Transaction Coordinator(msdtc.exe)の登録:
   Win2kはインストール時に登
   録を促されるが、
   WindowsXPの場合は、手動
   でWINDOWS\System32にあ
   る msdtc.exeを NISに
   「インターネットアクセスを自
   動的に設定」で追加する。
 3-2)FileXCを今回は「全て許可」でNISに登録

4) UniversalPlug&Play(UPnP)の有効化:

  FileXCはTCPの1234〜1240
  番を使用するので、このうち
  最低1つのポートを空ける必
  要がある。
 4-1)FileXCはUPnPに対応し
  ているので、使用した両ルー
  タはUPnP対応なのでこの設
  定は不要のはずだが・・・、
  受信側のルータBAR EX
  1234番ポートワードして
  おく必要があった。
 4-2)OSのUPnPの有効化: Virsion1.11も2.0も有効/無効いずれでも、FileXCの動作に差はなかった。
   *ある情報では、WindowsXPはUPnPに対応しているが標準では利用できないので、「プログラムの
    追加と削除」の「Windowsコンポーネントの追加と削除」の「ネットワークサービス」の詳細で「UPnP
    ユーザーインターフェイス」を有効に設定する。とあるが・・・
    WinXPのUPnPを有効に設定すると、タスクトレイの「音量調整」と「ハードの取り外し」アイコンの表
    示が出来ない、SDカードのマウントが出来ない等の不具合が出現した 。
 
II. 接続方法
1) 送信相手とのメッセージウィンドウで、メニューバーの「操作」−「FileXCの開始」を選択。
  なお、MSN メッセンジャーでサインインしてなくても、スタート>プログラム>FileXCから単独でFileXC
  を起動してもよい。
 右エラーが表示されるが・・
 「OK」し、

 チャットしている相手の承認
 が得られると

 FileXCが起動する(自動起動
 が遅延する場合は・・4)参照)。

2) 「試用する・・・」をクリック。
 →私の環境では「接続していません(相手がいません)」となってしまう!

3) そこで、受信側でFileXCの「セッション」ー「ホスト」をクリックして接続待機状態とする。なお、ここで得
  られるアドレスはプライベートIPなので、ルーターWAN側のグローバルIPアドレスを相手に知らせる。
  ルータBAR SW-4PHGを使用している送信側でFileXCの「セッション」ー「ホスト」をクリックすると、「ア
  
ドレス設定を調査しています」と約10分間クラッシュ
状態となってしまう!
4) 送信側はFileXCの「セッション」ー「接続」をクリックして、相手側のグローバルIPアドレス:1234」を
  入力して接続
する。
  なお、ルータBAR SW-4PHGを使用しているとFileXCの自動起動が著明に遅延する(約10分間)
  この場合は、スタート>プログラムから起動すれば回避できる。
→接続成功!*結局、私の環境ではFileXCをスタート>プログラムから起動した方が扱い易かった。

III. ファイルの送受信
1) 送信側:送信したいファイル又はフォルダをFileXCの「送信中のファイル」にドラッグ&ドロップする。
   複数登録が可能で、接続が確立すれば送信に承認は必要ないため、相手が席にいない時でも
   送信することが出来る。

2) 受信側:マイドキュメントフォルダ中の「Received Files」フォルダに保存され、終了後自動で開かれる。
   受信をキャンセルしたい場合は「セッション」ー「ダウンロードの中断」で可能。
   接続が切断されても、再度接続が確立すれば、レジューム機能により残りの転送が再開される。
   今回の環境では、133.7MBのMPEGファイルが9分53秒(=1.8Mbps)で転送された。
   *私が現在運用している「WebDAVによるファイルサーバー」(FTTH:実測上り18Mbps前後)では、
    受信側:CATV30Mbpsコースの場合、2分58秒(=6.0Mbps)でダウンロードされる。

  なお、受信側も送信者になれるが、送・受信を同時に実行するとクラッシュする。

結果:
1)FileXC1.11は、一旦接続が確立すれば高速・大量のファイル転送が可能。しかも単独起動でも
  P2Pファイル送受信ツールとして利用可能だが、使用できる環境に制限がある。
2)FileXC2.0は、「新しい発想により、UPnP対応・未対応に関わらず、どんなNAT/ファイアウォール
  があっても接続できる」とアナウンスされているが・・・
  ルータBAR EXをDMZ(非
  武装地帯)に設定する必
  要
がある上に、
  *1234ないし2001番ポートフォ
   ワードでは接続不可。


  FileXCはスタート>プログ
  ラムからの起動とし、
  先ずDMZとした側を「いい
  
え=接続待機」で起動。
  相手側は「はい=接続す
  る」で起動して「DMZ側ア
  ドレス:2001」を入力。
  という手順でないと接続
  出来なかった。
  *この逆手順は接続不可。但し、
   両ル
ータ共DMZに設定してあ
   れば可能。
3)結局、コレガルータのFileXCに対するUPnP対応状況は、
  BAR EXは、FileXC1.11に一部未対応、FileXC2.0には全く対応していない。
  BAR SW-4PHGは、FileXC1.11に一部未対応、FileXC2.0にも一部未対応。
  と推定されるが、対応の仕方は上記の如く複雑だった。
  一方、何故メッセンジャーの「操作」からFileXCを起動して、そのまま接続を確立出来ないのか?
  その理由は判然としなかった。
結語 :
FileXCは、魅力的なパーソナルP2Pファイル送受信ツールだが、私の環境では試行錯誤して前準備する
必要があった。又接続手順にもコツが必要で、汎用性のある製品の開発が期待される。
追記:Personal P2P File Sharingとして開発・発展した多機能ファイル交換ソフトTrustyFilesは、フリー
ソフトなのは評価できるが、ファイルの配信は一つづつでないと出来ないのは寂しい。
又残念ながら現時点(バージョン2.3.0.1)では、SP2適応後のWindows XPには手順が煩雑なパッチ処理
をしなければ機能しないので、これまた汎用性に問題がある(ここを参照)。