AutoMKVでH.264圧縮MP4へ変換

AutoMKVでH.264圧縮MP4へ変換
AutoMKVを用いたH.264_AAC.mp4ファイル作成の有用性とWeb配信
(2007.09.06作成)
AutoMKV は、DVDメディアやDVDのソース(VOB, IFO)の他にも各種動画ファイル(MPEG,
AVI, MKV, MP4,MOVなど)を、H.264, XviD /AAC,MP3, AC3,Ogg Vorbis圧縮のMP4動画や
MKV動画に変換したり、XviD/MP3圧縮のAVI動画及びWMV動画に変換することが可能な
オープンソースの動画変換ツール。
そこで、Windowsでは扱いにくいが最近注目のMP4(H.264_AAC.mp4)形式への変換を検証
してみた。
 同系のStaxRipとの比較
AutoMKV はAviSynth、BeSweet、DGIndexやMP4Boxなどの外部アプリケーションを利用
 
StaxRipと同じ系列のDVD圧縮変換ツール。

 筆者が気づいたStaxRipとの違いは、
  ・多くの外部アプリケーションの導入は済んでおり、インストールが簡単。
   但し、下記の如くNeroAacEnc.exeは手動でインストールが必要。
  ・変換可能な素材は多彩で、DVDメディアや各種動画ファイルにも対応している。
  ・DIVX形式への変換機能はないが、WMV形式に出力可能。
   但し、出力されたファイルの映像圧縮は WMV1となっており、前々世代の様式だ。
  ・映像圧縮にDivXコーディクを使用出来ない。
  ・カット編集機能を搭載していない。
  ・Windows Vista環境で使用すると不具合が多い。
  その他映像圧縮の詳細設定などに違いがあるようだが、筆者の評価能力を超えている。

 入手先及びインストール
AutoMKVここから (今回はAutoMKV089.rarを)ダウンロード。
 適当なところ(筆者はC:\Program Files)に解凍して使用する。
(1)Windows XPの場合 ソフトの動作には、Microsoft .NET Framework 1.1が必要。
  Windows Vistaの場合は .NET Frameworkを特に用意する必要はないが・・・
(2)MPEG-4&3GPP用のAAC圧縮にはNero Digital Audio(NeroAacEnc.exe)が必要。
   NeroAacEnc.exeは、AutoMKV089.exeの初回起動時に自動的にダウンロードセン
   ターに接続されるので、NeroDigitalAudio.zipをダウンロードして解凍し、「Win32」フォルダ
   内のNeroAacEnc.exeを本体内「exe」の「BeSweet」フォルダ内にコピーする。
  *Nero Digital Audio:http://www.nero.com/nerodigital/eng/Audio.html
(3)AutoMKV089.exeを初めて起動すると、FFmpeg関連ファイルをsystem32へインストール
  してよいか許可を求められるのでOKする。
   Vista環境では、AutoMKV089.exeを「管理者として実行する」にしないとインストールに
   失敗する。
(4)AviSynthWindows Mediaエンコーダ9Koepi's Xvid Codec等は別途インストー
   ルしておく必要がある。
  しかし、その後MPEG2素材を用いた前試験では、Vista環境で使用するとプレビュー機能が
   使えない。MP4形式とMKV形式への変換ではシネスコサイズに出力出来ない場合がある
   等の不具合が解消出来ないので、Vistaでの試用は諦めた。
 追記:Vista環境でAutoMKV 0.93の使用  
  VistaでAutoMKV093
   FFmpeg関連ファイル
   のsystem32へのイン
   ストール
   sysswow32 folder
   FFMegSource.dll
   avcodec-51.dll
   avformat-51.dll
   avutil-49.dll
   libFLAC_dynamic.
    dll
   postproc-51.dll
   swscale-0.dll
   zlib1.dll
   がコピー出来ない。

 リッピングの可否
DVDFabDecrypter2.9.7.90が付属しておりリッピング可能だが、筆者はDVD Decrypter
 で予めバックアップしておいて使用した。
  IFOモードで本編のみを 1ファイルで出力すると便利。
  FILEモードで出力すると、多数のVOBとなるので不都合だ。
 変換可能な素材
本家によれば、*.vob,*.mpeg,*.mpg,*.ifo,*.ts,*.tp,*.avi,*.d2v,*.avs,*.m1v,*.m2v,*.dvr-ms,
   *.mkv,*.mp4,*.vro,*.mov
即ち、
 DVDメディアやDVDのソース:VOBファイル(「VIDEO_TS」フォルダ内などの)、IFO情報ファイル。
  但し、ISOイメージファイルは利用出来ない。
 各種動画ファイル:MPEG, AVI, MKV, MP4,MOVなど。
  素材の読み込み時、WMV, RM, NSV, DIVX, OGMやFLVは対応ファイルに入っていないが、
    ⇒ 「AutoMKVの対応ビデオファイル形式」を参照。

 出力可能なファイル形式
H.264, XviD /AAC,MP3, AC3,Ogg Vorbis圧縮のMP4MKV、XviD/MP3圧縮のAVI及び
  WMV/WMA圧縮のWMV
  しかし、MPEG2, DIVXやFLV形式へ変換出来ない。

 A) DVDビデオをH.264_AAC.mp4 に変換
 素材及びマシン環境
今回は、DVDビデオ(片面2層 ビスタサイズ 16:9 スクイーズ収録、5.1chAC3二重音声:英語,
 日本語吹替、二重字幕)の本編 2時間01分を、
AutoMKV 0.89を使用して
 CD一枚分(容量:700MB、解像度:544x304)に圧縮変換した。
マシン環境は、Intel D945GNT、PentiumD830 3.0GHz、DDR2-667, 1GBx2、GeForce 6600GT
  (VRAM 128MB) で、WindowsXP_ProSp2を使用した。
DVDのリッピングは、DVD Decrypterを使用した。素材に用いたDVDVの構造は、ここを参照。
 変換方法
1)AutoMKV089.exeをクリックして起動して、
「Basic Settings」タブで以下の設定を行う。
実物サイズへ
2)素材の読み込み
  「Slect Input File」エリアの右にある「..」ボタンをクリックして、リッピング済みIFOファ
    イルを読み込む。
  DVDメディアの場合は、ドライブを選択して「Check DVD Drive」ボタンをクリックすると、
    VIDEO_TS\VIS\01_0.IFOが自動的に読み込まれる。
3)出力先の指定
   「Slect Output Folder」エリアの右にある「..」ボタンをクリックして指定。
4)コンテナ形式と圧縮方法
 の設定
  MKV, MP4を選択すると
    x264又はXviD
  AVIを選択すると
    XviDのみ
  WMVを選択すると
    WMVのみ 
  の選択が可能となる。
 今回はMP4, x264とした

 Profileは初期設定の
  2_Pass_Balancedとした
5)音声の指定と圧縮方法
 の設定。
  MKV, MP4を選択すると
   AAC,MP3, AC3,Vorbis
  AVIを選択すると
   MP3のみ
  WMVを選択すると
   WMVのみ
  の選択が可能となる。
 今回はNeroAACとした。
6)字幕の指定
7)リサイズ方法の設定
 初期設定のSimpleResize
  とした
 サイズ幅も初期設定の
  Automaticとした。
 *サイズの任意変更は、
  「Advanced Settings」の
  Manual Crop and Resize
  で設定する。
8)最終出力サイズの指定
 DVDの圧縮変換を目的とす
  るなら、「Output File/
  Name options」の選択で
  間に合う。
 *個別の動画ファイルを変
  換する場合は、
  「Advanced Settings」の
  (2)「AutoResize And
  Bitrate/Quality」で設定
  する。
*「Advanced Settings」タブの使い方
    ノンインターレースやリサイズ方法、映像コーデック関連のより詳しい設定が用意され
    ているが、不明な設定項目も多い。
実物サイズへ
 (1)クロップとリサイズ編集
   「Manual Crop and Resize」で、
  ・サイズ変更のみなら
   Specify Width/Heightに数値例えば 544x304を入力し
   てEnable Manual Crop and Resizeをチェック。 
  ・クロップ編集をするなら
    「Preview」ボタンをクリックしてプレビュー画面を表示す
    る(右図)。
 
   Cropで、映像の上下左右から黒枠を除去出来る。
   リサイズもするなら、
    例えば740X480→ 544x304と入力して「Accept」を押す。
  (2)ビットレート/画質の設定
   「AutoResize And Bitrate/Quality」で
   Use CRF for AutoResize Routinesの
   チェックを外して、ビットレート指定又は
   画質指定で設定する。
   NeroAACでは、音声のビットレート指定
   
が出来ない
  (3)字幕挿入の詳細設定は、「Muxing Options」で
    行うのだが、方法が解らない?
(4)終了時のシャットダウンは、「Global
  Options」で設定出来る。
(5)tempファイルの自動削除が望みなら、
  「Del Temp File」をチェックする。
*「Advanced Profiles Editing」タブでは、プロファイルを編集したり新規のプロファイルを
    作成することも可能。
    但し、コマンドラインのパラメータ設定なので、上級の知識が求められる。
9)最後に「Start Encoding」ボタンをクリックすると、各処理を担当するツールが次々に起動し
   て変換が行われる。  →ここを参照。
⇒指定した保存場所に変換されたMP4ファイルが、logファイルとtempフォルダ(中間ファイル類)
  とともに出力される。

 結果 :
1)AutoMKVは、StaxRipと同じ系列のDVD圧縮変換ツールで、インストールやセッティン
 
 操作がStaxRipと比べて簡便に仕上がっている(ここを参照)。
  又、StaxRipでは
ソフト任せにすると縦長になってしまったが、正規のアスペクト比で出力
   が可能だった。
  しかし問題点は、
  ・個々のコーデックの圧縮法を設定をするダイアログ(圧縮設定画面)が表示されない。
  ・何故か字幕を挿入する事が出来ない・・・やはりStaxRipのように、DVDビデオ本体から
   字幕をデータとして吸い出したうえで結合するという事になるのか不明。
  ・StaxRipに搭載されているカット編集機能を持っていない。
  ・HandBrakeと比較して、StaxRipと同様にH.264圧縮に長時間必要とする。
  ・2-Passエンコードした場合、StaxRipと同様に変換されたMP4ファイルは QuickTime
  
Playerで上手く再生出来なかった(しかし、1-Passエンコードでは再生可能だ!)。
   GOM Player, VLC Media PlayerやMPlayer GUIでは再生可能。
   Windows Media Player等 DirectShow に対応している多くのメディアプレイヤーでも 、例
   えばMatroskaSplitter+H.264デコーダ+AACフィルタを用意すれば再生可能だ。
2)エンコードに必要な時間: 2時間の本編を 2-Pass_Balancedでは 3時間19分もかかて変換。
  しかし、 1-Pass_Fastestエンコードでは 1時間29分で変換出来た。
 <参考>Xvid_MP3.aviへの変換: 2-Passエンコードでは 2時間14分で変換。
3)解像度:512x288。容量は、700MBと目標通り。
4)今回の設定条件で出力される映像の画質は Good・・・「無料DVD変換ツールの比較」を参照。
5)H.264_AAC.mp4変換とXvid_MP3.avi変換の画質比較
  ファイルの解像度を 512x288と同じにして 2-Pass_Balancedで変換した。
圧縮変換形式
動きの速いシーン
動きの遅いシーン
H.264_AAC.mp4
(2-Pass)

画質は
オマケのGood

↑フルスクリーン
Xvid_MP3.avi
(2-Pass)

画質はSo-So

動きの速いシーン
ではノイズが出現

↑フルスクリーン


 B) AutoMKV対応ビデオファイル形式
AutoMKV v0.89を用いてH.264_AAC.mp4, XviD_MP3.avi, H.264_Vorbis.mkv及び
  WMV_WMA.wmv
への変換の可否を検討した。
方法と成績
 筆者が手持ちの素材を用いて検討した成績の詳細は  別ページを参照
結果
 AutoMKV
を動画のマルチコンバータとして利用するには、SUPER cMediaCoder
  比べて使い勝手が悪く、ファイル形式の対応度においても力量不足の感は歪めない。
 1)利用可能なファイル形式:
  読み込み時に表示されるMPEG, AVI, MKV, MP4,MOV以外のファイル形式については、
  (1)WMVファイルとFLVファイルは、ほぼ完全対応している。
  (2)DIVXとOGMファイルは、WMVへの変換以外はマトモなファイルとして出力出来ない。
  (3)RMとNSVファイルは、利用不可。
 2)正式対応しているファイル形式の中で、不都合な圧縮形式:
  (1)RV10_RA8.mkvファイルは、いずれの形式へも変換出来ない。
  (2)AVIファイルのWMVへの変換は、他の形式への変換と比べて不具合が多い。
    ・メジャーな圧縮形式(Huffyuv/DivX/XviD/H.264)のファイルは、問題なく変換可能。
    ・無圧縮と3ivx4.51圧縮ファイルは、変換不可。
    ・マイナーな圧縮形式(MsMPEG4v2/WMV9/VP6)のファイルは、マトモなファイルと
     して出力出来ない。
 3)残念ながら、本ソフトは オーソドックスなMPEG2や最近話題のFLV形式へ変換出来ない。


 C) AutoMKVで変換した動画はWeb配信用途に利用可能か
  AutoMKVで変換したMP4及びWMVは、Web配信用動画として利用可能かを検証する目的で、
   高画質MPEG2ファイルを素材として、ビットレート500Kbps前後を目標に変換した。
   OSは WinXP_ProSp2環境で行った。
  方法:上記A)の方法に準じて設定するが、本ソフトはDVDの圧縮変換用途に仕様されている
     ので、今回の目的では操作性や使い勝手は良くない。
   「Basic Settings」タブでは、
     素材の読み込みと保存先を指定し、出力ファイル(コンテナ、映像、音声)形式を指定する。
     但し、変換形式の指定ではMPEG2が素材の場合には以下の制限がある。即ち、
      ・MP4への変換は、2-Pass_Balancedで実行すると、QuickTimeで再生出ないファイル
        となってしまうので、1-Pass High Performance
        で実行した。

      ・WMVへの変換は、2-Pass_Balancedでは可能
        が、何故か1-Passでは変換出来ない。
     音質設定
       Nero AACはビットレート指定が出来ず
         品質 0.30以下指定した。
       WMVは 今回 64Kbpsとした。
  
「Advanced Settings」タブでは、
     「Manual Crop and Resize」で、
      ファイルサイズ(今回は640x272)を
      指定して、
      Enable Manual Crop and Resizeに
      チェックを入れる。

     「AutoResize And Bitrate/Quality」で、
      ビットレート(今回は436)を指定する。
      但し、Nero AACではビットレート指定
      が出ないので、トータルビットレート
      を算出出来ない!
結果
本ソフトで変換したMP4の配信テスト(約513Kbps,67秒)
Embed方式→ここから
Stand方式 →ここから
Web Serverから疑似ストリーム(Faststart再生)配信が可能だ。シーク操作も可能。
マシンによってはWeb上では、スムーズに再生されずガクガクとなってしまう事がある。
転送レートの調整に問題あり、QuickTimeやMMname2で転送レートが表示されない。
*ムービーを視聴するには、QuickTime7以降が必要です。

本ソフトで変換したWMVの配信テスト(486Kbps,67秒)
Embed方式→ここから
Stand方式 →こちら
Web Serverから疑似ストリーム配信が可能。WMPではDL完了後シーク操作が可能。
映像圧縮がWMV1(WMV7)という前々世代の事もあってか、画質は・・・だ。


注意
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