(1)人工換気により救命し得た生下時体重
870gのIRDS 治験例
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、小川雄之亮、柴田隆
小児科臨床別冊(第26卷 第11号 1484~1489
昭和48年11月) 1973
2*)新生児頭蓋內出血の脳外科的治療経験
ー硬膜外血腫と後頭蓋窩血腫の各1治験例ー
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、 伊藤道男、鈴木三和子、他
名古屋市立大学医学部第2外科学教室
高木卓爾
概要 : 新生児早期に脳外科的処置を施行し良好な結果を得た新生児頭蓋内出血の2例を報告した。治験例1は生後2日目に穿頭術により血腫を除去した両側側頭部の硬膜外血腫の症例であり、生後1年3ヵ月時の発達は極めて順調であった。治験例2は生後7日目に開頭術により血腫を除去した後頭蓋窩の硬膜下血腫の症例であるが、その後併発した水頭症に対して生後3ヵ月の時に
V-P shunt を施行した。生後10ヵ月の時の発達は良好で何らCP症状を認めていない。
日本新生児学会雑誌第11巻 174~180
第2号 1975
(3)胎児新生児の肺胞上皮細胞の形態と生化学的特性
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、小川雄之亮
産婦人科の世界第29巻第2号 1484~1489
1977
(4)専門分化された小児科「培養細胞による胎生肺成熟化へのアブローチ」
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二
小児科診療 (第40巻第11号 141~151
) 昭和52年11月1日発行 1977
5*)単離Ⅱ型肺胞上皮細胞による細胞分化に関する研究
第1編 ウサギ胎仔肺からのⅡ型肺胞上皮細胞の分離と生化学的特性
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二
概要 : 満期近くのウサギ胎仔肺からII型肺胞上皮細胞
(type Ⅱ cell) を複雑な操作を行うことなく分離する方法を開発した。
胎令28日目ウサギ胎仔から摘出した直後の肺を冷
phosphate buffered
saline (pH 7.4) 内で細切した後、37°Cで20分間
0.25% trypsin 液を用いた酵素処理法により細胞を解離せしめた。直径40μmのナイロンメッシュにより濾過した後の細胞浮遊液を、比重
1.052 Ficoll 液に重層して20分間非連続密度勾配遠心沈殿を施行した。比重
1.052 Ficoll 液上の界面に分画された細胞は、1羽の胎仔肺から平均
4.1×106個回収され、81%がtype
II cell であった。電子顕微鏡による観察では、分離細胞は同在胎の胎仔肺組織にみられる
type Ⅱ cellの特性を有していた。trypan
blue による viability
は約91%を示した。
リン脂質組成の分析では、胎仔肺から分離した
type II cellの phosphatidylcholine
量は蛋白質1mg当り2.79μg-P
を示し、そのうちの38.2%は disaturated
phosphatidylcholineより成り、蛋白質1mg当り
1.06μg-Pを示した。これらの値は、成獣ウサギ肺の
alveolar macrophage
より著明に高かった。ウサギ胎仔肺組織や肺胞洗浄後の成獣ウサギ肺組織との比較では、胎仔の
type Ⅱ cell における全
phosphatidylcholine
に占めるdisaturated phosphatidylcholine
の割合は明らかに高値を示した。しかしながら、胎仔の
type II cell における
disaturated phosphatidylcholine
量は成獣ウサギ肺から分離した type
II cell より低値を示した事より、胎令28日目ウサギ胎仔肺の
type II cell は未だ十分に成熟していないと思われた。
以上の結果より、胎令28日目ウサギ胎仔肺から
disaturated phosphatidylcholine
に富む viabilityの高い type
II cell を 比較的簡単な操作で分離出来ることが示された。
日本新生児学会雑誌 第15巻 3号
375~386 1979
6*)単離Ⅱ型肺胞上皮細胞による細胞分化に関する研究
第2編 ウサギ胎仔肺から分離したⅡ型肺胞上皮細胞におけるphosphatidylcholineの合成能
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二
概要 : 満期近くのウサギ胎仔肺から分離したⅡ型肺胞上皮細胞
(type Ⅱ cell) を用いて、[3H]
choline および[14C]palmitate
のとり込み実験を行い、phosphatidylcholine
ないし disaturated phosphatidylcholine
の合成能を検討した。
胎令28日目ウサギ胎仔肺から分離した
type Ⅱ cell において、培養開始後はじめの1時間に
disaturated phosphatidylcholine
にとり込まれた各 precursor
の量は、単位蛋白量当り成獣ウサギの
alveolar macrophageより著明に多く、成獣ウサギ肺から分離した
type Ⅱ cell と差はみとめられなかった。胎仔の
type II cellにおける [3H]choline
および [14C]palmitate
の disaturated phosphatidylcholine
へのとり込みの全 phosphatidylcholine
へのとり込みに占める割合は、各々 20.9%
および 48.8% を示した。これらの値は成獣の
type II cell より低値であった。しかし、胎仔の
type II cell における
[14C] palmitate
の disaturated phosphatidylcholine
へのとり込み率は成獣の macrophage
より明らかに高値であった。胎仔 の
type II cell の各precursor
の phosphatidylcholine
ないし disaturated phosphatidylcholine
へのとり込みにおける specific
activity は、成獣の type
Ⅱ cell の約 1.6~2.0倍と高く、成獣の
macrophage よりさらに著明な高値を示した。
以上の結果、胎令28日目ウサギ胎仔肺から分離した
type II cell は極めて活発な
disaturated phosphatidylcholine
合成能を有し、とりわけ palmitate
の disaturated phosphatidylcholine
への 活発 なとり込み能を示すことが明らかにされた。
日本新生児学会雑誌 第15巻 3号
387~397 1979
(7)ヒト胎児の培養肺上皮細胞による
disaturated phosphatidylcholineの合成及び分泌におよぼす
cortisolないし dibutyryl
cyclic AMPの影響
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、毛利篤子、渡辺 勇、他
日本界面医学会雑誌 第10卷 第1号
71~82 昭和54年5月15日 1979
(8)周產期の肺 surfactant
system
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、小川雄之亮
綜合臨床 第30卷 第12号 2874~2878
(昭和56年12月1日) 1981
(9)呼吸管理の実際
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、小川雄之亮
小児看護 1982年9月 第5卷 第10号
1276~1284 (通巻第54号)
1982
10*)Buffy coat
血微量培養法(全血法の変法)によるリンパ球幼若化反応の基礎的検討
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、安井洋二、矢崎信、他
要約 : 細胞性免疫能の一端を把握するために、少量の
buffy coat 血を用いて3H-thymidine
の取り込みを指標として、plant
mitogen に対するリンパ球の幼若化反応
(mitogen 反応) を測定する簡便法を考案し基礎的検討を行った。
リンパ球に単球を混入させると mitogen
反応は全て増加し、その増加率は phytohemagglutinin-p(PHA-p)及び
leucoagglutinin (LA)
反応よりも concanavalin
A (Con A) 及び pokeweed
mitogen(PWM) 反応の方が高値を示した。単核球に少量の赤血球を含む単核球以外の全血液細胞を混入させると、培養リンパ球数の違いによる単位リンパ球数当りの
mitogen 反応の変動は少なく、リンパ球数が少ない時でも充分な反応が得られた。これらのことは、buffy
coat 血を用いた mitogen
反応の検査法はリンパ球のみを用いた方法よりもリンパ球の
in vivo の免疫状態を的確に把握することができ、又リンパ球の定量的機能検索法としても優れていることを示唆している。
buffy coat 血を用いた mitogen
反応検査の諸条件を検討したところ、10%
fetal calf serum 加
RPMI-1640 培養液0.5ml
中で全血液量35μl より得られる
buffy coat 血を96時間培養し、細胞採取前18時間の3H-thymidine
の labelling をする条件が適切であると思われた。又、ほぼ最高の
mitogen 反応が得られる最低のPHA-p,
LA, Con A 及び PWM 濃度は各々30,
4, 22.5及び30μg/ml であった。
日本小児科学会雑誌 第86巻 第1号
74~81 1982
11*)Buffy coat
血微量培養法によるリンパ球幼若化反応の年齢推移
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、安井洋二、矢崎信、他
要旨 : 各年代の小児の末梢血から得られた
buffy coat 血を用いて、in
vitro で非刺激時及び各種mitogen
添加時のリンパ球幼若化反応を3H-thymidine
の取り込みを指標として測定し、成人と比較した。
生後3ヵ月未満における非刺激時ないし
leucoagglutinin (LA;20μg/ml)、concanavalin
A(Con A;1, 5及び 25μg/ml)、pokeweed
mitogen (PWM; 4.8,
24 及び 120μg/ml) 添加時の反応はいずれも高値を示し、Con
A 及び PWM 添加時の反応は成人に比べて著明な高値を示したが、非刺激時及びLA
添加時は成人の約2倍の高値を示したにすぎなかった。これらの反応はいずれも生後3ヵ月以降は低下し、非刺激時及び
LA 添加時は成人と差を認めなくなったが、Con
A 添加時は全小児期を通してなお高値を示した。PWM
添加時の反応は3-15歳になって成人と差を認めなくなった。一方、phytohemagglutinin-p
添加時の反応は一定した年齢推移を示さなかった。
在胎23週~42週の生後24時間以内の新生児の非刺激時の反応は在胎期間の短い児程高値を示したが、mitogen
添加時は在胎期間との間に相関を認めなかった。
日本小児科学会雑誌 第86巻 第1号
82~90 1982
12*)Methylcellulose
少量一段法によるTリンパ球コロニー形成法の基礎的検討と新生児への応用
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、安井洋二、戸苅 創、他
概要 : phytohemagglutinin-p
(PHA-P) 添加 methylcellulose
少量一段法を用いてリンパ球コロニー形成法の基礎的検討を行い、以下の如き結果を得た。
1. Tリンパ球より構成される細胞群のコロニー形成は不良で、これに付着細胞を添加するとコロニー形成は著明に改善されたことより、著者らの培養条件ではコロニー形成に付着細胞の存在が必須であると思われた。
2. 至適培養条件の検討を行ったところ、PHA-P
30μg/ml、ウシ胎仔血清 10%、methylcellulose
1% からなる pH 7.4 Eagle's
minimum essential
medium 0.3ml に 3~6×105個の単核球をうえ込み、6日間
5%炭酸ガス培養を行うのが適切であった。
3. 生後7日以内の成熟新生児末梢血の単核球を用いて形成されたコロニー細胞は、成人と同様大部分羊赤血球とロゼットを形成するリンパ芽球様細胞ないしリンパ球より成り、同時期のコロニー形成能は成人に比べて著明な高値を示した。
これらの成績は、同法が今後新生児期のTリンパ球の分化増殖機構を
in vitro で検索する有力な手段となり得ることを示していると思われる。
日本新生児学会雑誌 第18卷 第3号
488~496 1982
13*)新生児末梢血のTリンパ球コロニー形成能
ーコロニー形成能とTリンパ球百分率及びリンパ球
幼若化反応との相関性について一
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、安井洋二、矢崎 信、他
概要 : 生後11日以内の未熟児及び成熟児の末梢血を用いて細胞性免疫に関与する各種指標を同時に少量測定法により検索し、以下の如き結果を得た。
1. 未熟児及び成熟児において phytohemalutin
(PHA-p) 添加 methylcellulose
一段法により形成されたコロニー細胞は共に成人と同様大部分Tリンパ球より構成されていた。しかも、新生児のコロニー形成能は成人に比べて著明な高値を示した。
2. 成熟児の末梢血Tリンパ球百分率は成人より低値の傾向を示し、未熟児は最も低値の傾向を示したが各グループ間で有意差を認めなかった。
3. 生後24時間以内の成熟児の PHA-P
に対するリンパ球幼若化反応は、単位細胞数当りの
3H-thymidineの取り込み
(CPM) 値で検討すると成人に比べて差を認めなかつたが、pokeweed
mitogen (PWM) 反応は高値を示した。一方、stimulation
index (SI) 値で検討すると
PHA-p 反応は低値を示したが、PWM
反応は差を認めなかつた。未熟児の両反応は、生後24時間以内の成熟児に比べて単位細胞当りの
CPM値は高値、SI値は低値の傾向を示したが、SI
値で検討した 4.8μg/ml の
PWM に対する低反応を除き統計学的有意差を認めなかった。
4. 成人においてはコロニー形成能と
PHA-p 反応及び PWM 反応との間に正の相関が示されたが、一方新生児においてはコロニー形成能とTリンパ百分率及び
PWM 反応との間に負の相関が示された。
日本新生児学会雑誌 第18巻 第3号
497~506 1982
14*)未熟児・新生児末梢血リンパ球の細胞化学的検討
ーacid α-naphthyl acetate
esterase, ẞ-glucuronidase及び
acid phosphatase染色によるTリンパ球評価の有用性について一
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、小林 道生、安井洋二、他
概要 : 極小未熟児及び新生児を対象に
buffy coat 血塗抹標本を用いて、リンパ球の細胞酵素化学的検索を行い、以下の如き結果を得た。
成熟新生児リンパ球の各酵素の塊状陽性率は成人と比べて、acid
α-naphthyl acetate
esterase (ANAE)は有意差を認めず、β-glucuronidase
(BG) は低値を示し、acid phosphatase
(ACP) は高値を示した。ANAE
ないしBG 塊状陽性率は、成熟新生児及び成人共にEロゼット形成率との間に正の相関を示した。しかしながら、ACP塊状陽性率とEロゼット形成率との間には、両群共に相関を示さなかった。
生後4週以内の未熟児の各酵素の塊状陽性率は、いずれも成熟新生児と有意差を示さなかった。一方、生後4~25週の未熟児のEロゼット形成率及びANAE
塊状陽性率は、共に生後1週以内の未熟児よりも著明な低値を示したが、BG
塊状陽性率は高値を示した。ACP 塊状陽性率は1週以内の未熟児と同様に成人と比べて高値を示した。
以上の結果、正常成熟新生児においても、ANAE
及び BG 塊状陽性所見はTリンパ球の指標となり得ることが示された。又生後4~25週の極小未熟児の細胞性免疫機構の発達については今後さらに検討されるべき課題を有していることが示された。
日本新生児学会雑誌 第20卷 第1号
82~89 1984
15*)極小未熟児の末梢血好中球の細胞化学的検討
ー細菌感染症の重症度評価におけるalkaline
phosphataseの診断的意義についてー
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、小林 道生、松本延男、他
概要 : 極小未熟児及び成熟新生児を対象に、好中球の3つの酵素活性と
nitroblue tetrazolium
(NBT) 還元能を、毛細管血を用いて細胞化学的微量測定法により検討した。
非刺激時の NBT 還元率は成人と比べて、成熟新生児は差を示さなかったが、生後
1週未満の極小未熟児は著明な高値を示した。しかしながら、生後1週以降の極小未熟児は成人と比べて統計学的に有意な高値を示さなかつた。
成熟新生児の好中球 alkaline
phosphatase (ALP)
活性は最も高値を示し、生後1週未満の極小未熟児は次いで高値を示した。しかしながら、生後1週以降の極小未熟児の活性は週齢とともに低下し、生後4~25週においては成人と有意差を示さなかった。
好中球のβ-glucuronidase
及び acid phosphatase
活性はいずれの児においても、成人より著明な高値を示した。
極小未熟児において細菌感染時と非感染時のこれら好中球機能と関係する指標について比較したところ、ALP活性は敗血症例で著明な低値を示し、一方限局性感染症例では明らかに高値を示すことが観察された。しかも、感染症例の
ALP 活性は末梢血中の未熟好中球の割合との間に逆相関を示すことが見いだされた。
以上の結果、好中球 ALP 活性の細胞化学的測定は、極小未熟児における細菌感染症の重症度を評価する上で有用な臨床的補助手段となり得ることが示唆された。
日本新生児学会雑誌 第20巻 第2号
164~172 1984
16*)新生児期における末梢血リンパ球の
adenosine deaminase及びpurine
nucleoside phosphorylase活性
一細胞化学的微量測定法の開発と感染症における動態一
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二、江口秀史、小林 道生、他
概要 : 未熟児・新生児及び成人における末梢血リンパ球のadenosine
deaminase (ADA) 及び
purine nucleoside
phosphorylase (PNP)
活性を、著者らが考案した buffy
coat 血塗沫固定標本を用いた細胞化学的微量測定法により検索した。
感染症を有しない成熟新生児のリンパ球
ADA 及び PNP 活性は、成人との間に有意差を示さなかった。一方、未熟児においては成人と比べて、PNP
活性には差を示さなかったが、ADA
活性は高値を示した。
重症細菌感染を有する児におけるリンパ球のこれら酵素活性の変動を検討したところ、感染初期に
PNP 活性は上昇し、感染の消褪とともにADA
活性は上昇を示した。
これらの成績は、著者らが考案した ADA
及び PNP 活性の細胞化学的微量測定法は、採血量の限られる児のリンパ球の発達や免疫反応におけるこれら酵素の生理的役割を検索するための1手段となり得ることを示している。
日本新生児学会雑誌 第20卷 第3号
350~356 1984
17*)Staphylococcus
Aureus Cowan Iを用いた微量測定法による末梢血B細胞增殖能の発達に関する検討
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二*、江口秀史*、伊藤多美子、他
(*現 埼玉医科大学総合医療センター小児科)
概要 : staphylococcus
aureus Cowan I株菌体(SpA
Col)刺激洗浄全血球培養法によるB細胞増殖能の微量測定
法を考案し,生後の発達について検討した。
SpACoIの細胞増殖活性は,ヒト血清及びヒト免疫グロブリンのみならず,ウシ胎仔血清添加によっても著明に
抑制された。至適培養は,SpA Col
0.005% v/v、ヒト血清アルブミン0.25%からなるRPMI-1640培養液0.5mlに
洗浄全血球15μ1を入れ,72時間培養を行う条件で得られた。植え込みリンパ球数の違いや混入赤血球量の差による
stimulation index値の変動は少なく,又従来の分離リンパ球法との間に良い相関が示された。
成熟児及び未熟児におけるリンパ球増殖反応は,生後1週未満は著明に低く,生後3力月を境にして急速に増加
し,1歳以降に成人レベルに達することが示された。
これらの成績は,同法がB細胞増殖能の測定法として有用であることを示すとともに,幼若乳児•新生児のB細
胞機能は未熟であることを示唆している。
日本新生児学会雑誌 第21卷 第3号
504-511 1985
18*)Theophylline,
prostaglandin E1及び
indomethacinの新生児リンパ球のPHA刺激細胞增殖反応に及ぼす影響
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二* 江口 秀史* 伊藤多美子、他
(*現 埼玉医科大学総合医療センター小児科)
概要 : 新生児末梢血リンパ球のphytohemagglutinin刺激DNA合成促進反応に及ぼすdibutyryl
cyclic AMP (DBcAMP),theophylline,prostaglandin
E1(PG E1)及び indomethacin
の影響について in vitro で検討した。
高濃度の DBcAMP(4.9X10-7M
以上),theophylline (1.8X10-3M
以上)及びPGE1(3.5Xl0-3M
以上)は成人と同様に濃度依存性にDNA合成を抑制した.一方,中等度濃度のDBcAMP
(0.6 —1.2X10-5M),theophylline
(2.2—4.4Xl0-4M)
及び PGE1 (4.4X10-8M)
は、成人においてはほとんど影響を示さなかったが、
新生児 においてはDNA合成を増強した。この増強効果は、新生児末梢血中に未分化なリンパ球が多く循環していること
を示唆する結果と思われる。
indomethacinは、未熟児に投与された時に得られる血中濃度と同じin
vitroの濃度(2.8X10-6M)においても、リンパ球のDNA合成を増強する効果を示したことより、今後その臨床的意義について検討される必要があると思
われた。
日本新生児学会雑誌 第21卷 第3号
531~536 1985
19*)リンパ球のmitogen
反応及ぼす敗血症及 bronze baby
症候群血漿の影響と交換輸血の効果
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷賢二* 江口 秀史* 伊藤多美子、他
(*現 埼玉医科大学総合医療センター小児科)
概要 : phytohemagglutinin
(PHA),concanavalin
A (Con A)及び pokeweed
mitogen (PWM)刺激リンパ球の
DNA合成促進反応(mitogen反応)に及ぼす健康新生児並びに病的早期乳児の血漿の影響について検討した。
日齢0〜3の健康成熟新生児の血漿添加時のmitogen反応は,いずれも高濃度添加時において健康成人血漿添加時の反応と比べて著明な低値を示した。一方,日齢3
~ 7の新生児血漿添加時は,高濃度添加時のPWMに対する
低反応以外は,成人血漿添加時の反応に匹敵する反応を示した。これらの成績は,出生後間もない新生児の血中には免疫抑制因子が増量していることを示唆している。
敗血症及びbronze baby症候群の血漿はPHA及びPWM反応を著明に抑制した。一方,この抑制効果は交換輸血後減少した。これらのことは,敗血症及びbronzebaby症候群の血中には強い免疫抑制因子が含まれており,又
交換輸血に基づく血漿交換により抑制因子が除去されることを示唆している。
日本新生児学会雑誌 第21卷 第3号
552~558 1985
20*)モノクローナル抗体による極小未熟児のTリンパ球
サブセットの年齢推移の検討
名古屋市立大学医学部小児科学教室
神谷 賢二*、伊藤多美子、一木 貴、他
(現 埼玉医科大学総合医療センター小児科)
概要 : 汎Tヘルパー/インデューサーT(TH/I)及びサブレッサー/細胞障害性T(Ts/c)リンパ球の同定に用い
られているモノクローナル抗体を使用して,極小未熟児の末梢血Tリンパ球サブセットの年齢推移を検索し,同時に行った成熟児及び成人の成績と比較検討した。
汎T,TH/I,及びTs/cリンパ球の比率は,成熟児においては一定した年齢推移を示さなかった。しかしながら極小未熟児においては明らかな年齢推移を示した。すなわち,生後1週未満は低値を示し,年齢とともに増加して,1力月以降は成熟児や成人と差を示さなかった。生後1力月未満の極小未熟児における汎T抗原を持たず,TH/Iな
いしTs/c抗原を有するリンパ球の比率は,1力月以降の年齢児よりも高値を示した。同じ所見は成熟児においても
認められ,1力月未満のこの比率は成人と比べて著明な高値を示した。
これらの結果は,新生児期における極小未熟児の末梢血Tリンパ球の膜形質は成熟児よりも更に未発達であるこ
とを示唆しており,又新生児期のTリンパ球サブセットの基礎データとなるものである。
日本新生児学会雑誌 第21卷 第3号
635-641 1985
(21)新生児の呼吸生理および呼吸機能
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小川雄之亮
小児内科 vol.18 no.2 189~195
1986
(22)よくみられる症状とその薬物療法ー新生児期・乳児期ー呼吸困難
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二
新小児医学大系(中山書店) 第6巻
B 70~83 1986
(23)特集・新生児の症状と診断
チアノーゼ
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小川雄之亮
産婦人科治療 Vol.53 No.6
646~653 1986
(24)小児ショックの病態生理
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小川雄之亮
小児内科 vol.19 no.10
1383~1393 1987
25*)抗生剤による二次性新生児、乳児ビタミンK欠乏発症に関する検討
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、高崎 二郎、小山 典久、他
概要 : 生後1週以降3力月未満の抗生剤投与を受けた乳児38例を対象として,protein
induced by vitamin
K abscence or antagonist-II
(以下PIVKA-II)とへパプラスチンテスト(以下HPT値)の同時測定を行い,抗生剤開始日齢7日以内の25例(以下抗体剤早期開始群)と平均開始日齢25日の13例(以下抗生剤後期開始群)とに分けて
ビタミンK欠乏について検討したところ,以下の成績を得た。
1) HPT低値を示した者は両群に各々1例あったが,20%以下のいわゆるニアミス例はいなかった。一方,
PIVKA-IIは全症例中17例(45%)が
lμg/ml以上の陽性を示した。
2) 抗生剤早期開始群においては,アンビシリンとアミノグリコシド併用投与のみでも約半数例がPIVKA-II陽性を示したが,抗生剤後期開始群においては陽性例はなかった。一方新セフェム系抗生剤の併用投与により,後期開始群においてはPIVKA-II陽性率は60%と著明な増加がみられたが,早期開始群では増加はみられなかった。
3) PIVKA-II陽性化危険因子の検討では,重症細菌感染症例に抗生剤の多量投与を行うと,抗生剤後期開始群に
おいては下痢合併を伴なう例が多く,またPIVKA-II陽性を示す例が多かった。
以上のことから,抗生剤投与中はビタミンK欠乏に対する注意深いモニタリングが必要であるとともに,特に抗生剤の生後早期開始例やセフェム系抗生剤投与例においては,ビタミンKの予防的補充が必要と思われる。
日本新生児学会雑誌 第23卷 第3号
682~688 1987
(26)早期新生児の健診のポイント
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小川雄之亮
周産期医学 vol.18 no.4
538~546 1988
(27)新生児の薬物治療と化学的呼吸管理
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小川雄之亮
周産期医学 vol.18 no.8
1089~1095 1988
(28)ベビーのための新・くすり講座
ー抗真菌剤ー
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二
NICU VOL.1 NO.8 679~687
1988
(29)新生児を志す人のための病態生理
ー敗血症の病態生理ー
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二
NICU VOL.2 NO.5 366~373
1989
(30)成長・発達と小児看護
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小川雄之亮
クリニカルナーシングガイド(メディカ出版)
9~41 1989
(31)未熟児新生児におけるGVHD
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小山典久
産婦血液 vol.14 no.1 7~15
1990
(32)BPDとケミカルメディエーター
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、高崎二郎、小山典久、他
新生児学トピックス(メディカ出版)
9~41 1990
33*)慢性肺障害児の気道液中腫瘍壊死因子
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷賢二、金子広司、板倉 敬乃、他
概要 : 慢性肺障害(chronic
lung disease, CLD)進展低出生体重児
8例から得られた気管気管支洗浄液を用いて,
腫瘍壊死因子(tumor necrosis
factor-alpha, TNFa)を経日的に測定した.
対照検体はCLD 非進展低出生体重児10例から非細菌感染時に得た.
CLD 8 例中7 例において,TNFαは細菌感染のない一時期に持続的高値を示した.
また,151検体中72検体(48%)
は経過中50pg/mg albumin以上の値を示した.
一方,CLD非進展例のTNFαは,63検体中56検体(89%)において50pg/mg
albumin以下の低値を示した.
これらの成績は,肺局所のTNFαの産生がCLDの病態形成に重要な役割を演じていることを示唆するものである。
日本新生児学会雑誌 第26卷 第2号
561~565 1990
34*)低出生体重児の細菌性肺炎と気道液中ケミカルメディエーター
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷賢二、金子広司、板倉 敬乃、他
概要 : 細菌性肺炎を有する低出生体重児6例を対象として,気管気管支洗浄液中の顆粒球elastase-α1-proteinase
inhibitor 複合体(E-α1-PI)、fibronectin
と腫瘍壊死因子(TNFα)を経過を追って測定した.
対照検体は,慢性肺障害を有さない低出生体重児10例から非細菌感染時に採取した.
結果はmg albumin 当りで表示した.
感染症児においては,E-α1-PIは感染徴候出現時に上昇し,回復期間中に低下した.
その最高値の平均値は11.2士 7.8μg/mg
albuminであり,対照58検体の平均値3.2士0.
9μg/mg albumin よりも明らかに高値を示した.
感染児のTNFαは,病態の消長に数日遅れて増減した.
しかし,その最高値は対照58検体の89パーセンタイル上限値である50pg/mg
albumin を全例越えており,その平均値は317士385pg/mg
albumin であった.
また,感染児においてE-α1-PI
の最高値とTNFαの最高値および最高CRP値との間に正の相関関係が認められた。
一方,fibronectinは感染の経過中3症例で軽度の上昇を示した以外は大きな変動を示さなかった.
以上の成績は,低出生体重児の細菌性肺炎において,気道液中E-α1-PI
とTNFαが重症度と疾患の推移の適切な指標になることを明らかにするものである.
日本新生児学会雑誌 第26卷 第2号
566~570 1990
(35)早産未熟児と胎児発育
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小川雄之亮、江口秀史
産婦人科の世界 vol.42 no.10
913~917 1990
(36)周産期の免疫グロブリン療法
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小山典久、小川雄之亮
小児医学 第23卷 第5号 647~672
1990
(37)産婦人科治療法の実際 新生児の管理
呼吸障害
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二
産科と婦人科 第57卷増刊号 315~318
1990
(38)慢性肺疾患の実態ー長期入院例に関する合同調査ー
埼玉医科大学総合医療センター小児科、他
神谷 賢二、小川雄之亮、大野 勉、他
NICU VOL.3 冬季増刊号 11~16
1990
(39)Chemical mediator
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小山典久、田中太平、他
NICU VOL.3 冬季増刊号 79~85
1990
40*)低出生体重の呼吸障害時における気道液中
thiobarbituric acid反応物質の測定意義
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、金子 広司、板倉 敬乃、他
概要 : 気管内挿管中の低出生体重児から得られた気管気管支洗浄液を用いて,thiobarbituric
acid ( TBA)反応物質を経過を追って測定した.
対象の検体は細菌感染ないしは慢性肺障害を合併した
9名の児から採取した. 対照の検体は慢性肺障害非進展児10例から感染を合併しない時期に採取した.
結果はmg albumin当りのmalondialdehyde量として表わした.
慢性肺障害に進展した2 例のTBA
反応物質は,各々日齢 4および32以降に対照検体平均値(1.4士0.8nmol/mg
albumin)の数倍の高値を持続した.
しかし軽症型慢性肺障害進展例の2 例は,経過中著明な変動を示さなかった。
慢性肺障害とは別に,2 症例においてTBA
反応物質は敗血症性呼吸障害時に各々5.1および9.2nmol/mg
albumm 迄上昇し,回復後は正常に復した.
しかしながら,細菌性肺炎合併時の5
回のェピソードにおいては経過中明らかな変化は認められなかった.
これらの結果は,低出生体重児において慢性肺障害の重症化を予測する上で,また細菌感染時の肺病変の広がり
を推定する上で,気道液中のTAB 反応物質の測定がーつの臨床的指標となり得ることを示している。
日本新生児学会雑誌 第26卷 第3号
759~763 1990
41*)慢性肺障害とケミカルメディエーター
生化学的アプローチ
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、金子 広司、板倉 敬乃、他
要旨 : 慢性肺障害(CLD)に進展した低出生体重児から得られた気道液の試料を用いて,ケミカルメディェーターを経日的に測定した。測定項目はelastase-α1-proteinase
inhibitor (E-α1-PI)、fibronectin(FN)、腫瘍壊死因子(TNFα)、thiobarbituric
acid (TBA)反応物質,血小板活性化因子(PAF)
とロイコトリエン類(LTs)である。対照検体はCLDをもたない挿管中の低出生体重児から,細菌感染のない時期に採取した。結果は,PAF
以外はmg albumin 当たりで表わし,PAF
はμg 脂質リン(P) 当たりで表わした。
各メディテーターは,遷延性呼吸窮迫と胸部x-p
所見の進展中の一時期に波状的ないし持続的高値を示した。これらの変動は,各々E-α1-PI
は8例中6例,FN は10例中7例,TNFaは8例中5例,TBA反応物質は5
例中2 例で認められた。 CLD に進展した
7 例のPAF は,3 例において細菌性肺炎中一過性に高値を示し,1例においては非感染時にも進行性に持続的高値を示した。LTsは1例において持続的高値を示した。
以上の成績は,CLD の病態形成に多くの化学物質がメディェーターとして関与していることを示唆するものである。
未熟児新生児学会雑誌 第2卷 第1号
90~95 1990
42*)症候性動脈管開存症児における顆粒球エラスターゼと腫瘍壊死因子の慢性肺疾患への関与
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、小川雄之亮、小山典久、他
要約 : 重症の症候性動脈管開存症(PDA)を合併した低出生体重児5例を対象と
して、経過を追って気道液中の顆粒球elastase-
α1-proteinase複合体(E-α1-PI)と腫傷壊死因子(TNFa)を測定した。E-α1-PIとTNFαはいずれも、症候性PDAの出現とともに上昇し、各々対照検体の平均値の約2倍及び5倍の高値を示した。又、閉鎖後は対照域に低下する変動パターンを示した。最も体重が重く、人工換気期間の短い1例を除き他の4例は慢性肺障害(CLD)に進展した。
日本新生児学会雑誌 第27卷 第2号
1991
(43)腫瘍壊死因子(TNF)と小児炎症性疾患
埼玉医科大学総合医療センター小児科
神谷 賢二、高崎二郎、小川雄之亮
小児医学(医学書院) 第24巻 第3号
1991