インターネット経由Wake On LANの設定

インターネット経由Wake On LANの設定
WOL非対応ルータ越えで遠隔地にあるコンピュータの電源投入
(2010.04.22作成)

    Wake On LAN(WOL)でコンピュータを起動するには、電源やマザーボードなどのハード
     ウェアやOSの条件が揃っていないとうまく機能しない(@ITのこちらを参照)。
    最近のコンピュータは、Wake on LANでS5(完全な電源オフ。但し、マザーボードを経由し
     てデバイスへの給電は行われている)状態から電源オンへの移行をサポートしているが、
     メーカー製コンピュータはカスタマイズされたBIOSとなっており、Wake On LANを設定する
     項目が無い場合もある。
    又インターネット経由で行う場合、
上位モデルのルータではMagic Packetを送出するコマ
     ンドを持つものもあるが、一般向けルータの多くは未対応なのが現状だ。
    今回は、2008年01月自作PC(Core 2 Quad Q6600 2.40GHz、ASUS P5E、Windows 7)
     のWake on LANを、2003年8月販売のWOL非対応のルータcorega BAR EXで試行して
     みた。

 I.ホスト側(電源投入をされる側)の設定
  1)マザーボードのBIOS設定
   以下のような項目をチェックし、該当項目が有効に機能するよう「Enable」に設定する。
 
@ITの「Wake On LANでコンピュータを起動する」から引用
 
設定内容 表示名
Wake On LAN WOL、Wake On LAN、Remote Wakeupなど
Power Management
Event
PME、PCI Boot Device、APM Configuration、Power On by PCI Device、
Power On By PCIE Deviceなど
    今回のASUS P5Eの場合
    Powerメニュー>APM Configurationで以下の項目を「Enable」に変更する。
 
 
  2)ネットワーク・アダプターの設定
   「コンピュータの管理」「デバイス マネージャ」を起動し、「ネットワークアダプター」の項目か
   ら、WOLに利用するアダプター(今回は、Marvell Yukon 88E8056 PCI-E Gigabit Ethernet
   Controller)を選択し、[プロパティ]を開いて以下の設定を行った。
   詳細設定で「ウェイクアップ機能」:マジックとパターン、「シャットダウンからの起動」:オン
    電源の管理で「このデバイスで、コンピュータのスタンバイ状態を解除..」をチェック
 
 
  3)ブロードバンドルータ(corega BAR EX)の設定
   「Advanced」ー「バーチャルサーバ」で新しく「Wake_on_LAN」の項目を作成して、
   WOLさせるパソコン(今回はQSWin7)へポートフォワードする が長時間はダメだ。
   プライベートアドレス指定で良いように記載している記事もあるが、後で記述!

    なお、このルータにはLANハブを介して6台のコンピュータが繋がっている。
   プロトコルは「UDP」を選択。ポート番号は他の番号と交わらない適当な番号(
   MagicBootの初期設定 3708から変更)でよい。
 
 
 II.クライアント側(遠隔で電源投入操作を行う側)の設定
  MagicBoot(Magic Packet送出ソフト)の設定
   Wake on LANのUDPデータグラムを送出するためのツールとして、今回はMagicBoot
   0.21(ここから入手)を使用した。「追加」ボタンからホスト設定を行う。
    PC NAME:適当に入力。今回は「ルータ越えQSWin7」と命名した。
    GROUP:そのまま
    PORT NO.:新規作成したバーチャルサーバ「Wake_on_LAN」で指定したポート番号
    IP ADDR:ホスト側(電源投入をされる側)PCのルータが取得しているグローバル IP
    アドレス
(ルータの「Status」の「WAN側 IPアドレス」で確認)を入力。
    筆者の場合、常時自宅サーバを開設しているのでルータの電源を切る等以外は
      同じグローバル IPアドレスとなっているが、プロバイダー側が配線工事などを
      実地すると変わってしまうので、その都度変更しておく必要が生じる
      サーバーネームで接続出来れば良いのだがそのような機能を搭載していない。
    なおLAN内で送出する場合は、電源を投入するコンピュータのプライベートアドレス
     (192.168.1.●●)ではなく、ブロードキャストアドレス(192.168.1.255)を入力する!
   MAC ADDR:ホスト側PC(QSWin7)のPhysical Address(MACアドレス)を入力。
 
 <結果>
   LAN内での電源投入は問題なかったが、インターネット経由(ルータ越え)での電源投入
    は、数十分すると反応しなくなってしまった。

   これは 清水氏の記事によれば、”ルータのARPキャッシュが関係しているようだ。ルータ
    はLAN上のパソコンのMACアドレスとIPアドレスの対応をARPキャッシュとして一定時間
    保持しているが(どれくらい保持するかはルータによる)、これがクリアされてしまうと、
    転送先のパソコンのMACアドレスが不明となり、きちんとMagicPacketが届かない。これ
    によって、一定時間しかWOLが機能しないと考えられる。
    このため、今度はポートフォワードの設定を変更し、転送先をパソコンのIPアドレスでは
    なく、LAN側のブロードキャストアドレス(192.168.0.255など、末尾が255のアドレス)に
    してみた。ブロードキャストアドレスであれば、LAN全体にMagicPacketがブロードキャス
    トされるため、ARPキャッシュがクリアされたとしてもターゲットのパソコンにMagicPacket
    を届けることができる。”と
   ところが、筆者が使用しているルータcorega BAR EXはブロードキャストアドレス宛のポー
    トフォワードが設定出来ないように制限されている
 Y (>_<、)Y
 <対策>
   ナッ何んと!「Wake On Lan(WOL)非対応のコレガ(Corega)のルーターで無理矢理WOL
   という方策があったのだ。
  corega BAR EXの場合は、「バーチャルサーバ」での設定画面でポートフォーワードを設定
   するのだが、
この画面では接続先として任意のIPを設定出来ず、ルータ内のPCデータベ
   ースに登録されている PCリストからしか選択出来ない。
  しからば、PCデータベースの詳細設定画面
   の「PCデータ追加」から無理やりIPの末尾
   が255のデータを登録しようとすると・・・
   エラーダイアログが表示されてしまう。
  そこで上記記事の方策に順じて、JavaScriptオンの状態でPCデータベース(詳細設定)画
   面までを表示させて、その後ブラウザのJavaScriptをオフに設定した。
   ツール>インターネットオプション>セキュリティ>レベルのカスタマイズ>スクリプト
    >アクティブスクリプトを無効にする。
 
   末尾が255の存在しない「WOL」というPCデータ(MACアドレスは適当に入力)を
    作成して「PCデータ追加」ボタンをクリックする。
 
   何回かのチャレンジ後に、無理やり(ラッキーにも)登録する事が出来た \(^o^)/
   そして、「バーチャルサーバ」で作成しておいた「Wake_on_LAN」のポートフォワー
    ド先にこの「WOL」を選択したところ、時間制限無く電源オンが可能となった。
   ・・・しかし、これはこのルーターの本来の使用から外れた使い方であり、Smarf
      攻撃など安全性という面では不安が残る σ(-_-;)?
   筆者はインターネット経由でWOLを行う事は稀だが、頻繁に使用する場合には、
    BUFFALOのBHR-4RV(10,400円、VPN接続とWOL可能)等の導入を考慮すべ
     きであろう(こちらの記事を参照)。
    なお、2007年6月販売のcoregaル
     ータCG-BARFX3は、ブラウザの
    JavaScriptをオフに設定しても
     255を入力出来ず、ブロードキャ
    ストアドレスを持ったPCデータを
    作成する事は出来なかった。


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