MacでX11環境の導入と日本語化

MacでX11環境の導入と日本語化
私の環境(MacPowerBookG4/1G、MacOSX10.2.8)での方法

(04.01.06作成)

上図は、X11環境下で、KDEとGIMPを同時に起動したところ。GIMPの日本語入力は可能。しかし・・・
 X11環境の導入

 1) X11環境とはMacOSX版のX Window Systemのこと。
  X Window System(XWS)とは、UNIXのGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェース:画面へのグラ
  フィック描画)環境、いわゆる「X環境」を提供する基本ソフトのこと。
  その主流となっているオープンソースが「XFree86」で、Linux(PC_UNIX)やMacOSXに対応している。
  X11 for MacOSX(X11)は、このXFree86をベースにQuartz(描画エンジン)やOpenGL(3Dテク
  ノロジー)の機能を生かせるようにアップル社が改良したソフト。

 2) X11
  アップル社は今後X11 for MacOSXの正式版はMacOSX10.3のみに対応させるとして、OSX10.2.x
  へのサポートを早々と中止した。
  OSX10.2.x対応の「X11 for MacOSX Public Beta3」および「同SDK」の入手先は
     http://download.au.kde.org/pub/apple/MacOSX/X11/ (リンク切れ)

 3) インストールが完了するとX11本体が「アプリケーション」フォルダに収められる。

 4) X11アイコンをダブルクリックすると「xterm(ターミナルソフト)」が起動する。このターミナルを使
  ってインストールしたUNIX系ソフトを起動する。

 

  Finkの利用

 1) Finkプロジェクト(http://fink.sourceforge.net/)は、Debian GNU/LinuxのMacOSX用移植
   プロジェクト。
  ・UNIX向けに開発されたオープンソースのプログラムをMacOSX用にビルドしパッケージ化したもの
   を配布。
  ・パッケージのインストール/アンインストール/アップデートなどが簡単に可能な管理ツール「Fink」
   を提供。
   Finkはターミナルを用いてコマンド入力で操作する必要があるが、Finkの操作がGUIで行える
   ユーティリティー「FinkCommander」を使用すれば、UNIXの専用知識がないユーザーでもマウス
   操作でUNIX系ソフトの入手/管理が可能。

 2) Finkの入手先は ここからダウンロード

 3) ダウンロードしたDisk Imageファイルの中には、FinkインストーラとFinkCommanderなどが入っている。

 4) Finkのインストールが完了すると、Finkを利用してダウンロードしたパッケージを収める「sw」フォルダ
  が起動ボリュームの第一階層に作成される。インストール中にターミナルが起動して、「sw」フォルダ
  の関連付けの可否を求められるが、「Y」キーを押せば作業は完了する。
  FinkCommanderは別途「Applications」フォルダにコピーする。

 5) FinkCommanderを起動して、FinkがX環境で作動するためにダミーの「system-xfree86」を
  インストールしておく。

 

  X11専用日本語入力システムの導入

 1) X11専用の日本語入力を実現するために必要なパッケージは「canna」(漢字かな変換サーバ)、
  「canna-dics」(辞書ファイル)、「kinput2」(日本語入力クライアント)と「kterm」(ターミナル
  ソフト)の4つ。
  Finkのパッケージには、現在この日本語入力システムのUnstable版しかないため、Fink以外の
  パッケージシステムの一つであるEasyPackage
(入手先はここから)というマネージャーから
  も入手する (04.12月調査時リンク切れ)。

 2) FinkCommanderのメニュー「Preferences」のFinkタブでUnstable版の表示を有効にして、上記
  4つをインストールする。何故か、インストール出来たり出来なかったりする。

 3) EasyPackageを用いて、分類「japanese」から上記4つをインストールする。

  参考:パッケージシステムによってはファイルの依存関係の管理やインストール先ディレクトリに相違
     があり、複数のパッケージシステムからのインストールは控えた方が良いとのことだが・・・・、
     私の環境では両方のマネージャーからのインストールを必要とした!。

 

  GIMPのインストールと日本語化

 1) GIMPは、GNU Image Manipulation Programの略で、GNUとは米フリーウェア財団のプロジェクトの
  こと。Photoshopに匹敵する豊富な機能を搭載した画像レタッチソフト。
  FinkCommanderからgimp(1.2.4-1)をダウンロード/インストールする。

 2) X Window Systemにはメニューなどの表示を各国語対応にする「X_LOCALE」という仕組みが
  あり、同機能に対応したアプリケーション(GIMPやGNOME)
であれば日本語表示できる。
  しかし残念ながら、Finkプロジェクトが提供するパッケージは同機能を無効にした状態で配布さ
  れている。これら対応アプリケーションでX_LOCALEを有効にするためには、GUI部品を提供するライブ
  ラリー「gtk+」(GUIの開発ツールキット)をビルド(編集)する必要がある。
  パッケージをソースからビルドするには、アップルが提供する開発ツール「Developer Tools」(
  Property List Editor)をインストールしておく必要がある。
  そして、日本語入力とかな漢字変換を可能とする設定もおこなう。

 3) まず、gtk+が生成する「info」に、X_LOCALEに対応させるための文字列を追記する。
  <方法>
  ターミナルでsudo pico /sw/fink/10.2/stable/main/finkinfo/gnome/gtk+-1.2.10-13.info
  と入力。「return」キーを押して「pico」エディターでファイルを開く。
  開いたファイルの中に「ConfigureParams」で始まる行があるので、その最後に
   --with-xinput=xfree --with-locale=ja_JP.EUC を追記して、「return」キー。
  「control」+「O」キー、「return」 キーで保存。「contrl」+「X」キーで「pico」エディターを終了。
  ターミナルも終了する。

 4) 次に、Developer Toolsファルダ内のApplicationsフォルダにあるProperty List Editorを用いて、
  新しくenvironment.plist(環境設定記録リスト)を作成して、「.MacOSX」内に格納する。
  <方法>
  Property List Editorを起動し、リストに以下の如く言語設定や日本語入力時に利用するソフト
  を指定して、
  「ホーム」フォルダに「environment.plist」と名前して保存する。
  なお、XMODIFIERS・・・は、日本語入力とかな漢字変換に必要。

  ターミナルに mkdir .MacOSX と入力後、「return」 キーを押し、「ホーム」フォルダに不可視
  の「.MacOSX」フォルダを作成する。
  ターミナルに cp environment.plst .MacOSX と入力後、「return」 キーを押し、.MacOSX
  フォルダ内にenvironment.plstをコピーする。

 5) 最後に、FinkCommanderでgtk+を再構築する。
  <方法>
  FinkCommanderを起動してgtk+を選択しておいて、Sourceメニュー(Binaryメニューではない)

  「Rebuild」/「Install」を選択する。

 5) なお、日本語入力時に点滅の不具合がある場合は、ホームフォルダに「.Xresources」を作成し、
  以下の文字列を記入しておくと解消出来る。
  <方法>
  ターミナルを起動して pico ~/.Xresources と入力し「return」キーを押して、「pico」エディターで
  「.Xresources」ファイルを開く。
  Kinput2*OverTheSpotConversion.UseOverrideShellForMode: True
  という文字列を入力して「control」+「O」キー、「return」 キーで保存。「contrl」+「X」キーで終了。

 

  デスクトップ環境:KDEの導入

 1) X Window SystemのGUIのデザインはWindowManagerと呼ばれるコンポーネントが担当して
  おり、X11 for MacOSXはAquaインターフェースを実現する「quarz-wm」を採用している。
  これをデスクトップ環境と呼ばれるパッケージKDE(や「GNOME」)と入れ替えれば、外見や使い
  勝手が異なるGUI環境を導入できる。

 2) KDEとはK Desktop Environmentの略で、Window Managerやファイルマネージャー、システム
  の設定などの機能を統合したデスクトップ環境を提供するアプリケーション。タスクバー、Webブラウ
  ザ、電子メールや画像ビューアーなどを標準で装備している。

 3) FinkCommanderから「Bundle-kde」(KDEに必要なパッケージ)と「kde-i18n-japanese」(KDE
  を日本語化するのに必要なパッケージ)をインストールする。

 結果:なっ何んと、現時点(バージョン3.1.2)では日本語(ヒラギノフォント)表示は出来てもその入力
  が出来ない!動画再生でも使えた物ではない。
  (1) WebブラウザKonquerorはFlashムービーすら視聴出来ない。
  (2) 簡単なグラフィックソフトは付属しているが、メディアプレーヤーを環境にインストール出来ない。
  (3) KDEからGIMPを起動すると文字化けして使用出来ない。 
  (4) 外部にメディアプレーヤーをインストールして利用できるかは疑問だ(今後の課題だが・・・)。


 初期設定ファイルの編集

 X11起動時にIMとKDEを自動起動するようにXFree86の初期設定ファイル.xinitrcを編集する。
 1) ターミナルを起動し cp /etc/X11/xinit/xinitrc ~/ と入力して、
  「etc」ディレクトリー以下に用意されているテンプレートxinitrcを「ホーム」にコピーする。    

 2) ターミナルで sudo pico ~/xinitrcと入力して「return」 キーを押し「pico」エディターでxinitrcを開く。

 3) xinitrcファイルを以下のように編集する。
  (1) # start some nice programsに kinput2 &を追記し、IMの自動起動。
  (2) # start the window managerに exec startkdeを追記して、KDEの自動起動。
      exec quarz-wmの行の先頭に #を追加して、コメントアウト(注釈として読み飛ばし)。
     「control」+「O」キー、「return」 キー、「contrl」+「X」キーで保存・終了する。

 4) 最後に、ターミナルで cp ~/xinitrc ~/.xinitrcと入力して「return」 キーを押して、
  「xinitrc」ファイルを不可視の「.xinitrc」ファイルに変更する。

 結果:これでKDEがX11起動時とともに自動起動する筈なのだが、何故か起動しない。
  X11は「.xinitrc」を「.xinitrc.old」という名前にリネームして無効化している?
  という事で、quarz-wmはそのままで、コメント#exec startkdeで使用しているが・・・・・、
  返ってこの方がGIMPをX11から同時に起動出来るので、文字化けせず日本語入力が出来て良い。

 

 現在の問題点と今後の課題

 1) KDEで日本語入力が出来ないことは致命的だ。今後何時解消されるのか?

 2) WebブラウザMozillaをインストールして、FlashおよびRealPlayerのプラグインが可能か?
  (現在MozillaはFinkからバイナリで入手可能だが作動しない)

 3) ムービープレーヤーMPlayerの利用は可能か?
  (現在Finkからバイナリでの入手不可/ソースではうまく作動しない)

 結語
  X11環境の利用は、現時点ではGIMP以外に実用的に使用できるソフトがない以上、マニアックな
  ユーザーのおもちゃの域を出ていない。

 



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