Virtual PC 2007の使用経験

Virtual PC 2007の使用経験
シンプルで使い易いが、USB機器を利用出来ずパフォーマンスは劣等だ
(2007.05.11作成)
2006年にMicrosoft社の「仮想マシン」ソフト
Virtual PCが無償で利用出来るようになり、
一般WindowsユーザもPCエミュレーションを
手軽に実行することが可能となった。

今回筆者は、Windows Vista で対応出来てい
ないソフト(ここを参照)を使用する事を目的に、
Virtual PC 2007を活用する事とした。
しかし、何んと!Virtual PC 2007は、Vista
Home版はサポート対象外となっている。
Home版へのインストールは可能だが追加機能
に制限があるようだ。
 (右図:Windows Vista環境下、Virtual PCで作
 成した仮想マシンのゲストWindows XPの起動)
使用したマシン環境は、Intel D945GNT、PentiumD830 3.0GHz、DDR2-667, 1GBx2、
 GeForce 6600GT(VRAM 128MB) で、
ホストOSは Windows Vista Ultimate、ゲストOSは Windows XP Homeである。

  無料のVista対応「仮想マシン」ソフトの比較   ここを参照

 特徴
Virtual PCは、ホスト/ゲスト間ファイルの簡単な交換や仮想マシンの変更無効化(復元ディ
スク)機能などを搭載したシンプルで使い易い「仮想マシン」ソフト。
Virtual PC 2007になって、ハードウェア仮想化支援機能とPXEブート機能が導入された。
しかし、サポートするプラットフォーム/オペレーションシステムは限られるので、VMware製品
のように一台のハードで、効率的な複数のサーバ環境を構築したり、開発したソフトウェアを
多角的に検証するなどの専門的用途には限界がある。
 入手先とインストール
入手先は、ここから
インストールでは、プロダク
トキーは入力されており、
迷うところはない 。

 Virtual Machine Network
 Services が導入される。
   インストール可能なホストOS:
     Windows Vista Business/Enterprise/Ultimate
     Windows Server 2003 Standard Edition/x64 Edition
     Windows XP Professional/x64 Edition/Tablet PC Edition
   サポートされるゲストWindows OS:

     Windows 98/Windows 98 Second Edition
     Windows Millennium Edition(Windows Me)
     Windows 2000 Professional
     Windows XP Home Edition/Professional
     Windows Vista Enterprise/Business/Ultimate
   Windows Vistaがサポートされたが、Windows 2000へはインストール出来なくなった。
   Windows Vista Homeはホスト/ゲスト共にサポート対象外だ。
 仮想マシンの作成
  Microsoft Virtual PCを起動して、Virtual PC コンソールの「新規」をクリックすると、
  「新しいバーチャルマシンウィザードの開始」が起動する。
  「次に」をクリックすると、「オプション」選択画面が表示されるので、「バーチャルマシンの
   作成」を選択する。
  次に、「バーチャルマシンの名前と場所」画面でバーチャルマシンの名前を入力する。
    *初期設定では、「マイドキュメント」内の「My Virtual Machines」フォルダ内にここで
     入力した名前とフォルダ名で 「.vmc」ファイル(=バーチャルマシンの構成ファイル)
     が作成される。
    今回は、場所を ”E:\VirtualXP” に指定し、 名前は ”VirtualXP.vmc” とした。
  次に、「オペレーティングシステム」画面で、バーチャルマシンにインストールするオペレ
    ーティングシステムを選択する。 今回は、「Windows XP」とした。
   続いて「メモリー」画面で、「推奨 RAM を使用」を選択。
     ・・・128 MBと初期設定されているが、後で変更可能だ。
   次の「バーチャルハードディスクオプション」画面で、「新しいバーチャルハードディスク」
    を選択。
   →「バーチャルハードディスク」画面では、自動的にバーチャルマシンの構成ファイルと
     同じ場所に同じ名前のHard Disk.vhd(=バーチャルマシンのディスクファイル)が入
     力される。 
    なお、Virtual PCの仮想ハードディスクは、使用するデータ量にあわせてサイズが大
     きくなる可変容量となっているので、特にディスク容量を指定する必要はない。 
  最後に「完了」ボタンをクリックする と、
   指定した場所(今回はE:\VirtualXP)
   に右ファイルが作成される。
     
.vmc:仮想マシンの構成ファイル
     .vhd:仮想マシンのディスク
仮想マシンのディスクは、
 この時点ではフォーマット
 されておらず、容量は130
 KBにすぎない。
   そして、
    「Virtual PCコンソール」に仮想
    マシンが追加される。
 仮想マシンの設定
  Virtual PCコンソールの「設定」ボタンをクリックして、項目「共有フォルダ」以外の詳細
    設定を行う。
  項目「メモリ」は、128→ 512MBに変更 
  項目「ハードディスク 2」へ作業・保存用バーチャルハードディスクを追加
     実際は、ゲストOSをインストールした後に実行した。
     「ハードディスク 2」を選択した状態で、「バーチャルディスクウィザード」ボタンをクリック
     →「新しいバーチャルディスクの作成」を選択→「バーチャルディスク」を選択
     →「バーチャルディスクの場所」で "E:\VirtualXP" に"Add HDD.vhd"の名前で保存
     →「バーチャルハードディスクオプション」で、「容量可変の拡張(推奨)」を選択
     →「バーチャルハードディスクのサイズ」で 8000MBを入力→「完了」
    ⇒項目「ハードディスク 2」を選択した状態で、「バーチャルハードディスクファイル」 を選択
      し、「参照」ボタンをクリックして作成したAdd HDD.vhdを登録する。
 仮想マシンにゲストOSをインストール
  Virtual PCコンソールの「起動」ボタンをクリックすると、以下の画面で一時待機状態となり、
  暫くすると、
   "Reboot and Select proper Boot device or InsertBoot Media in selected Boot device_"
  で待機状態となる。
  ここで、インストールCD(今回はお蔵になっていたWindows XP Home)を入れると、通常の
   PCと変わらない作業要領でゲストOS
   をインストールすることが出来る。

   なお、CD-ROMから起動出来ない場合
    があるようで、そのような時には、
    起動直後にDELキーをクリックして、
    BIOS画面を呼び出す。
    「Boot」タブで、3rd Boot Deviceに
    なっているCDROM Divicesを 1st
    Boot Deviceに「+」、「-」キーで変
    更して保存すれば可能となる。
  <備考>追加機能インストール前のこの時点では、仮想PC内にマウスカーソルが閉じ込
     められてしまう。
     キーボードの「右Alt」キーを押しながらマウスカーソルを移動すれば、本体パソコンが
     操作出来るようになる。
  追加機能(Virtual Machine Additions)のインストール
   Virtual PCの「操作」メニューの「バーチャルマシン追加機能のインストール/更新」を選択
   して、ゲストOSに追加機能をインストールすると以下の機能が使えるようになる。

    ・ホストOSとゲストOS間でのマウスポインタのシームレスな移動
    ・ホストOSとゲストOS間でファイルのドラッグ&ドロップでコピーする機能
    ・独自の共有フォルダ機能          ・ホストOSとの時刻同期
    ・クリップボードの共有            ・ウインドウサイズの自動リサイズ
    ・ビデオドライバの最適化           ・システムパフォーマンスの向上
  独自共有フォルダの設定方法
    ホスト側のフォルダ/ディスクをゲスト側OSから「ネットワークドライブ」
     として認識し、利用出来るようになる。
    手順:「編集」メニューの「設定」をクリックして、「共有フォルダ」を選択
      →下図右中央の「フォルダの共有」ボタンをクリックして、ホスト側
      のホルダを指定しOKする→マイコンピュータのネットワークドライブ
      に共有フォルダがマウントされる(右図)
      フォルダ指定時に「ドライブ文字」と「常に共有」を選択出来る。
     なお、ネットワーク全体の「Microsoft Corporation Folder Sharing」
       からネットワークの参照・接続は出来ない。
<備考>
  ショートカットキー

   マウス操作の開放:「右Alt」
   
全画面切り替え:「右Alt+Enter」
   Ctrl+Alt+Del操作:「右Alt+Del」
  今回の最終仮想マシン構成(右図)
   共有フォルダはバックアップファイルを収容
  復元ディスク機能について
   復元ディスクには、バーチャルマシ
   ンが使用されている間の変更がす
   べて補完されます。
   セッションの最後に、変更をバーチ
   ャルハードディスクに適応するか、
   次のセッションまで変更を保存す
   るか、または変更を削除するかを
   選択することができます。
   ⇒仮想マシンはファイルなので、
     単純にコピー保存しておいて
     上書きで復元すればよい。
 
 結果
  1)ゲストOS表示画面のメニューの操作性について
   日常的には、「操作」メニューの「全画面表示モード」と「編集」メニューの「設定」>
   「共有フォルダ」の使用だけで事足りる(ここを参照)。
   画面表示の自動リサイズ
    ゲストOSの表示は画面のサイズにヒットして自由にサイズを変更する事が出来るが、
    フルスクリーン状態で終了すると、次回起動時に表示の解像度が低下してしまう不
    具合がある
(筆者の場合1024x768→640x480となってしまう)。
  2)Audio, CD/DVD-ROMディバイスの利用は問題ない。
   VMware Player 2とは異なり、ホストOSドライブの自動再生機能を停止させることな
   く、ゲストOSでDVDビデオの自動再生が可能だ!
  3)USBには対応しておらず、USB機器(HDD、USBメモリーなど)を使用出来ない!とは情
   けない。是非とも導入して欲しかった最優先機能の1つだ。
  4)動作はもっさり、GyaO番組やDVDビデオの再生もぎこちなく、動画再生用のパフォー
   ンスは良くない

   DVD WorkshopでのDVDオーサリングなどは、とても実行する気になれなかった。
  ベンチマークテストCrystalMark 2004R2を用いて実行した(数値が大いほど高速)。
     コメント:ゲストOSのGDI, D2D描画性能は劣等だ。
    動画変換パフォーマンス:MPEG2(640x272)ファイルを変換するのに必要な時間
      MOVへの変換(2分04秒素材)以外は、4分22秒素材を用いた。( ):ホスト比
WMV(WMV9_WMA9)へ変換
 *TMPGEnc 3.0X Press使用
ゲストOS:11分07秒( x1.8)
 *ホストOS:06分08秒
RM(RV10_RA8)へ変換
 *Easy RealMedia Producer使用
ゲストOS:10分02秒( x2.2)
 *ホストOS:04分32秒
DIVX(DivX6.51_MP3)へ変換
 *Dr.DivX 2.0 OSS使用
ゲストOS:05分18秒( x1.7)
 *ホストOS:03分02秒
MOV(H.264_AAC)へ変換
 *QuickTime7.04 Pro使用
ゲストOS:21分27秒( x1.6)
 *ホストOS:13分38秒
    ホストOSと比較した変換速度は、1.6〜2.2倍掛かりVMware Player 2VirtualBox
     と差異はなかった。
    Photoshopの画像処理能:Photoshop 5.5でNILS'Type Effectsのメタリック/オリエン
     タル効果を実行する(複数のフィルタ処理)に必要な時間を計測した。( ):ホスト比
ゲストOS(Windows XP)
3分16秒( x4.7)
ホストOS(Windows Vista)
0分42秒
     ホストOSと比較した処理速度は 4.7倍も掛かり、VMware Player 2( 1分42秒)や
     VirtualBox 1.3.8( 2分21秒)より劣等だった。

  5)ホスト・ゲストOS間でのファイル交換が、ドラッグ&ドロップで簡単に可能だ。
  6)Microsoft Windowsネットワーク共有は自在に可能。
  7)ゲストOS側の動画ファイル(515MB)をホストOS側にコピーするのに要する時間は、
   ネットワーク共有(61秒)、ドラッグ&ドロップ(42秒)、フォルダ共有機能(32秒)の順で、
   フォルダ共有機能を使用した場合が最も高速だった。
  8)Vista環境のWMP11は、GyaOからダウンロードしたDRM(デジタル著作権管理)保護ASF
   を再生出来ないし、FairUse4WM1.3でもWMVのDRMを解除出来ない。
   そこで、ゲストOSのWndowsXP上でAutomate unDRMのDecryptItを起動してホスト側
   にあるWMVのDRM解除(ここを参照)を2種類の経由で試みた。
   無論、ゲストのWindows Media Player9はバージョンアップしていない。
   8-1)独自の共有フォルダ機能
     を使用して、ホストOSにあ
     るASFファイルの再生を試
     みたが、WMPでは右の警
     告されて再生出来ない。
     DRMの解除も出来なかっ
     た。

   8-2)ホストOSのネットワーク共有フォルダにあるASFファイルはネット経由で再生すること
     が可能で、DRMの解除も可能だった。
  追記(2007.08.15)
    FairUse4WMは、v1.3 Fix2になって、Vista &WMP11環境でも、Windows MediaのDRM
    解除が可能となったので、上記目的で「仮想マシン」を利用する必要は無くなった。
    →ここを参照
  9)独自共有フォルダ内の動画再生について
   Windows Media Player 9, Windows Media Player 6.4, Real Player 10.5, QuickTime
   Player7.04, Winamp 5.33, Media Player Classic 6.4.9, MPlayer GUI 070226で検討し
   たところ、
    Windows Media Player 9は、”指定されたファイルが見つかりません”で再生出来ない。
    Media Player Classicは、パフォーマンスが極端に低下して視聴に耐えない。
    それ以外のプレイヤーは対応する動画の再生は可能だが、元々パフォーマンスの悪
     いところに、更に低下して視聴し辛いものとなってしまう。
   なおDVD Workshopは、VirtualBoxとは異なり共有フォルダを作業場としてもトラブ
     ルを起こさないが、パフォーマンスは劣悪な為DVDオーサリングを実行する気になれ
     なかった。
 10)Norton Internet Security2004をアンインストールしたら、ゲストOSのアクティベーション
   だの、再登録だの、果てはプロダクトキーの変更まで求められてしまった。
 11)ホストのネットワーク接続でネットワークブリッジを使用していると、ゲストOSはネット接
    続が出来なくなってしまうので注意する。
    一方、VMware Player 2はブリッジを使用していても問題はない。
  なお、筆者の環境ではVMware Server1.0.3VMware Player 2.0は、Virtual PC
    2007
で作成した仮想マシンを作動・実行することは出来ず、互換性はなかった。

 総合評価
  仮想マシンの操作はシンプルで使い易いが、USB機器が利用出来ず、動画再生や
   画像処理のパフォーマンスは劣等だ。


| Kenのムービー計画へ >動画狂コーナーへ |