MPEG Streamclip for Windowsの試用

MPEG Streamclip for Windowsの試用
MPEG2/VOB動画の簡便な無劣化カット編集ソフトとして
又、QuickTime形式への変換ソフトとして有用か?
(2007.03.02作成10.04.02更新)
MPEG Streamclip for Windowsは、MPEGとQuickTimeの編集・変換・分離ソフト。
 MPEG-1, MPEG-2, VOB, DV, TS, MPEG-4の他に QuickTime, AVI のカットやトリミ
  ングなどの単純な編集が再エンコードすることなく可能だ。又 QuickTime, DV/DV50,
  AVI/DivX, MPEG-4形式に変換する事も可能だ。
 MPEG, TSは映像部分を無劣化のM2V に、音声部分をAIFF/MPA/AC3に変換して
   分離する事も可能。
 なお、MPEGの編集は GOP単位で可能だが、フレーム単位では出来ない。
筆者は以前、MPEG2→QuickTimeへの変換用途に試用してみたが、とても使い物に
  ならないとして放置していたが・・・
 今回、 MPEG2/VOBファイルの簡易な編集ツールの一つとして有効利用出来るか、
  試用する事とした。そこで、
   A) 「VOBファイルの編集と MPGE2への変換」について検証するとともに、
   B) 「MPEG2ファイルのQuickTimeへの変換」について再評価したところ、日本語環境
    では一部重要な不都合のある事が分かった 。
 OSはWindowsXP_ProSp2及びWindows Vista Ultimateを使用し、QuickTimePro7.13
  +MPEG-2再生コンポーネント環境下で実行した。
  なお、WindowsXPは日本語環境でしか検討出来ないが、Vista Ultimateは英語環境下
  でも検討した。
 追記(2009.11.xx)
  
Windows 7環境ではQuickTimeで再生可能だが、Webブラウザに埋め込まれた動
   はコントロールバーが黒帯となってシーク操作が出来ないこちらを参照)。
   QuickTimeが不具合の為に本ソフトでカット編集用途に支障を来たしている Y (>_<、)Y

 入手先とインストール
MPEG Streamclip for Windowsの入手先は、ここから (今回は v1.1を使用) 。
 DLしたMPEG_Streamclip_1.1.zipを、適当な場所に解凍すればそのまま使用出来る。
このソフトはMPEG2エンコーダを内蔵しておらず、
 動作には、別途 QuickTimeAlternative1.61以上 又はQuickTime Player7+MPEG-2
 再生コンポーネント(2,400円) をインストールしておく必要がある。

 入力対応ファイル形式
本家によれば、対応ファイル形式は
 *.ts;*.ps;*.vob;*.mpeg;*.mov;*.dv;*.avi;*.mp4;*.m2v;*.m1v;*.m4v;*.mpv;*.mmv;
 *.mod;*.vid;*.mpg;*.m2p;*.m2t;*.mts;*.vro;*.dat;*.rec;*.avr;*.pvr;*.vdr;*.dcm;
 *.tp;*.tp0;*.trp;*.divx;*.wmv;*.asf;*.flv;*.jpeg;*.jpg;*.tiff;*.tif
で、RM, OGM, MKVやNSVは未対応となっている。
しかし、FLV, WMVは読み込み出来なかった。
 操作方法
 初期設定
  MPEG Streamclipを起動する
  と "Now Starting QuickTime
  Support・・” が表示された後
  に、メイン画面が起動する。

  「Windows」メニューの
  Preferences」の設定は、
  MP2のビットレート:384kbps
  とデフォルトのままとする。
  その他も変更せず。
 
A) VOBファイルの編集と MPGE2への変換
 1)「File」メニューの「Open Files..」をクリックして、素材(今回は、MPEG2_AC3圧縮の
   VOBファイル)を読み込むと、QuickTimePlayerで表示される。
  選択範囲の指定とカット又はトリミングを行う。
    スライドバーで開始位置に移動して、「Edit」メニューの「Select In」を選択
    スライドバーで終了位置に移動して、「Edit」メニューの「Select Out」を選択
    →「Edit」メニューの「Cut」を選択すると、指定した範囲がカットされる。
    →「Edit」メニューの「Trim」を選択すると、指定した範囲がトリミングされる。
    <参考>コーピー&ペーストで選択範囲の移動や追加も可能だ。
    残念ながら、I フレーム単位で一つづつ前後に移動させる事が上手く出来ない。
    *「Edit」メニューに「Go to Keyframe(Ctrl+K)」があるが、連続して使用出来ない!
    複数の選択範囲をトリミングするには、不要部分をCutする方法を用いる。
 2)編集が終了したら、「File」メニューの今回は「Convert to MPEG with MP2 Audio..」を
  クリックして、MPEG2(MPEG2_MP2.mpg)に変換する。
  参考: 「Convert to MPEG...」で実行すれば、元素材の圧縮形式MPEG2_AC3.mpg
        の再エンコード無しで出力される。
      「Save As...」で実行すれば、元素材の圧縮形式MPEG2_AC3.vobで出力される。
  <Fileメニュー/Convert..の補足>
    ・Convert to MPEG..:ヘッダだけ書き直してMPEGへ書き出し。
    ・Convert to MPEG with MP2 audio:上記+音声MP2に変換。
    ・Convert to Headed MPEG:Toastに食わせる用に書き出し。
 
B-1) MPEG2ファイルのQuickTimeへの変換
  今回は、素材にシネスコサイズ(640x272)のMPEG2_MP2.mpgを用いて、QuickTime
   ムービーでは最も汎用されている H.2642_AAC.mov圧縮形式へ変換する。
  1)「File」メニューの「Export to QuickTime..」をクリックすると、本ソフト特有の(QuickTime
   Proからの盗用ではない)詳細設定画面が表示される。
   本ソフトは下記の参考 の如く、日本語環境下ではQuickTime形式での圧縮法の表示
    
な誤りがあり、
     例えば、「Compression」:H.264圧縮するには→Apple DV/DVCPRO-NTSCを選択す
     る必要がある。
 
<参考>日本語環境下で表示されるCompressionの訂正・対応表
  文字化けがある。
  そして一部の項目に
  欠落が起こった為な
  のか、
  表示内容と実際の圧
  縮結果との関係は右
  の赤矢印の如く、一
  致する場合は少なか
  った。
  例えば、デフォルトの
   「Apple PNG」は
   「Motion JPEG A」
   で圧縮される。

  「H.264」圧縮をするな
  ら、「Aplle DV/DVCP
  RO-NTSC」を選択す
  る必要がある!
  
   
   備考:Windows Vista Ultimateは多言語対応版なので、英語用の追加モジュ
       ールを導入して英語環境下で検討したところ、圧縮結果に誤りはなかった。

   付記:その他の「Export to...」について
     Export to AVI/DivX...
      映像圧縮の初期設定は「Apple・・・・JPEG A」となっている。出力すると、映像
     
:Motion JPEG、音声:MP3のAVI ファイルとなってしまう(なお、DivX/XviD等
      
の圧縮は出来ず、AVI への変換目的で利用する価値はない)。
     Export to MPEG-4...
      映像圧縮の初期設定は「H.264・・・」となっている。出力すると、映像:H.264、
      音声:AACのmp4 ファイルとなる(表示通りでこれは正解)。
     即ち、上記の訂正・対応表を当てはめる事は出来ない!

  2)映像圧縮:上記, Quality:80%, Multipassにチェック, Limit Data Rate:436kbpsに設定
  3)音声圧縮:MPEG-4 AAC圧縮として、Stereo, 今回は64kbpsに設定して、
   総ビットレートは、500kbps前後を目標とした。
  4)「Fast Start」にチェックを入れて擬似ストリーミング用とするのだが、結果4-1)に提示し
   た如くファーストスタート再生は出来なかった!
  5)クリップ編集も可能で、見ながらリアルタイムにクリップ出来ないが、「Preview」ボタン
   で確認することが可能だ。
  6)「Make Movie」ボタンをクリックして、保存場所とファイル名を指定すれば、変換を開始
   する。

追記(07.08.12)
B-2) MPEG2ファイルのMPEG-4への変換
  「File」メニューの「Export to MPEG-4..」をクリックして、以下QuickTimeへの変換と同様
  にH.264圧縮で出力設定する。
  但し、「Fast Start」欄はグレーとなってチェックすることは出来ないが、結果4-2)に提示し
   た如くラッキーなことに、ファーストスタート再生が可能だった!
 

 結果 :
A) VOBファイルの編集と MPGE2への変換
  MPEG2_AC3.vobをカット編集が出来、映像の劣化なしで MPEG2_MP2.mpgという
   汎用されている形式での出力が可能だ。
   *CuttermaranMpg2Cut2では、MPEG2_AC3.mpgでしか出力する事は出来
    ない(ここを参照)。
   但し、MPEG Streamclipは選択範囲の開始・終了指定が、I フレーム単位で上手
    く移動出来ないのが欠点だ。

B) MPEG2ファイルのQuickTimeないしMP4への変換
  1) QuickTimeの圧縮コーデックを借用しているが、詳細設定はQuickTimeProから
   盗用しているのではない。
  2) QuickTimeProでMPEG2/VOBを利用する場合は、映像と音声を分離し、音声を
   更にWAVEなどに変換する必要があるが、本ソフトはその必要はない。
  3)素材が640x272サイズ大の場合、携帯動画変換君SUPER cは、568又は620
   kbps位以下にすることは出来ないが(ここを参照)、本ソフトはほぼ目標の転送レー
   トで出力する事が出来た。
  4-1)
変換したH.264_AAC.mov(501Kbps,約2分)の配信テスト    ここから
Fast Start再生の擬似ストリーミング配信は不可(英語環境で出力してもダメ)
  4-2)
変換したH.264_AAC.mp4(509Kbps,約2分)の配信テスト    ここから
ラッキー!Faststartストリーミング方式で再生が可能です。
   *ムービーを視聴するには、QuickTime7以降が必要です。
 しかし、
  5) Multipassで出力すると、5Passエンコードが行われるようで時間が掛かってしまう。
  6)QuickTime形式での圧縮法の表示は、英語環境下では問題ないが、日本語環境
   下では重大な不具合がある!
  <追記> MPEG Streamclip 1.2b2 beta(2007.09.30)になっても同じだった!
  <追記> MPEG Streamclip 1.2(2008.08.10)でも同じだった!
  7) MPEG2素材が変動ビットレート(VBR)だと、上手く変換されないようだ。
<補足>
  残念ながら、QuickTime, MP4やAVI ファイルなどをMPEG2形式に変換する機能は
   搭載されておらず、MPEG素材の再編集と分離での出力に限られる。
追記(2010.01.xx⇒2010.04.02)
Windows 7環境ではQuickTimeのEmbed方式での再生に不具合
   64ビット版Windows 7環境ではQuickTimeのStandAlone再生は問題なさそうだが、
    Webブラウザに埋め込まれた動の場合はコントロールバーが黒帯となってシ
    作が出
来ない!
    2009.11.17時点では、64bit Windows7でも 32bit Windows 7RCでも同じ現象だ
     ったが、後者はその後問題なく再生可能となっていた。

   筆者が常用しているSANYOのデジタルムービーカメラ Xacti( ザクティ) DMX-

    HD1000で撮影した素材の無劣化カット編集に、MPEG Streamclip 1.2
    使用して重宝していたが、
   残念ながら QuickTimeが不具合の為にカット編集用途に支障を来たした Y (>_<、)Y
  ・・・何時かは改善されるのであろうか。今後は不備なQuickTime Xなのか?
 
  ⇒QuickTime 7.6.6(2010.03.31配布)になってこの不具合は解消された \(^o^)/ぅわ〜ぃ


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