MPEG2/VOBのカット編集ソフト

MPEG2/VOBのカット編集ソフト
 
MPEG2/VOB動画の不要なシーンを映像無劣化でカット出来る無料ツール
(2007.03.03作成, 07.09.21更新)
テレビ番組をキャプチャしたMPEG2動画のCM部分や、DVDビデオからリッピングしたVOB
動画の不要な場面をカットして、映像を再エンコード無しの無劣化で編集出来る無料のツ
ールには、以下のソフトが知られている。
各ツールの使い勝手は如何なものか、今回はVOBファイルを素材として試用してみた。
OSは、WindowsXP_ProSp2を(MPEG StreamclipはVistaの英語環境でも)試用した。
<参考>GOP単位の編集について
  GOP(Group Of Picture)とは、MPEGにおいて定められている動画を構成している最小
  の単位構造のことで、I・B・Pという3つのピクチャ構造から構成されている。

   I フレーム :Keyとなるフレーム
   Pフレーム:過去のI フレームとPフレームの差分を記録

   Bフレーム:前後のI フレーム・Bフレーム・Pフレームとの差分を記録
  基本的には、再エンコードなしに切り出し可能なのはGOP単位である。
   即ち、I フレームは 0.5秒間隔でしかなく、原則再エンコードなしでの編集は I フレーム
   間でしか出来ないので、多少不要部分が残るか、多少必要部分が削れるのどちらか
   の選択が求めらる事となる。

Cuttermaran
 特徴
MPEG Streamclipは、操作性が軽快なMPEG1/MPEG2のカット編集ソフト。
一般にGOP単位で編集するが、CuttyEncを導入すればフレーム単位でも可能となる。
直接MPEGファイルを読み込むことが出来ないので、MPEG Streamclip for Windows
TMPGEnc Plus2.5で分離する等して、映像ファイル(m1v, m2v, mpv)と音声ファイル
(mp2, ac3, mpa, mp3, m2a, dts, wav)を用意する必要がある。
 入手先とインストール
Cuttermaranの入手先は、ここから (今回は1.68a を使用)。
 Cuttermaran1.68.zipを解凍後、Setup.Exeをクリックして型の如くインストールする。
ソフトの動作にはMicrosoft .NET Framework 1.1以降が必要。
 操作方法
1)前準備
  今回は、VOBファイルを前もって映像ファイル(m2)と音声ファイル(ac3)に分離しておく。
2) Cuttermaranを起動すると、メイン画面が表示されるので、
  先ず「Actions」メニューの「Settings..」を行っておく。
  とくに必要な変更・設定の箇所は、「Muxing」と「GUI Presets」だが、「Muxing」は出力時に
  ダイアロッグが表示されるので、そこで指定可能だ。
  「GUI Presets」タブ:
  メイン画面の配置変更
  をすると、元に戻せなく
  なる場合があるので、
  初期配置を 「Save
  current....」で保存して
  おく。
3)素材の読み込み
  メイン画面左上のアイコン 又は 「Project」メニューの「Open」をクリックして、
  映像ファイル(m2v)を読み込む。
  同名の音声ファイル(ac3)が同じフォルダにあれば自動的に読み込まれる。
  読み込みが終わると、中央右のエリアに映像が表示される。
4)選択範囲の指定とトリミング
  本ソフトは、不要部分を切り取るのではなく、逆に必要部分を抜き出して繋げ直すことで
  不要部分をカットする。
→2箇所の領域を選択。スライダー部に両領域がともにGUI 表示される。
  選択範囲の指定方法
     画面下部にある(1)のスライダーでおおまかな位置まで移動して、画面右にある
     「navigation」欄の(2)と(3)のI フレーム移動ボタンで、調整する。
     開始点を(4)のinボタンで、終了点を(5)のoutボタンで指定する。inとoutを設定す
     ると、その下の+ボタンの下線部が赤く表示されるので、これを押せば画面下の
     「cut list」欄に選択範囲が登録される。
    他に必要なシーンがあれば、同様の方法で選択してリストに追加する。
    もし間違って不要な箇所をリストに入れた場合は、その項目を右クリックしてショート
    カットメニューから「Delete」を選択すれば削除出来る。
navigationパネルの説明
(1)スライダー
(2)I フレームを一つ戻る(0.5秒ほど)
(3)I フレームを一つ進む(0.5秒ほど)
(4)Set cut in:現在の位置を選択開始位置に指定
(5)Set cut out:現在の位置を選択終了位置に指定
(6)Add Range to cut list:選択範囲をリストに追加
(7)Pフレームを一つ戻る
(8)Pフレームを一つ進む
(9)選択位置を、選択開始位置へ移動
(10)選択位置を、選択終了位置へ移動
*Bボタン:一コマ単位での移動(→結果の補足を参照)
5)登録した領域の確認
  残しておきたい領域を全て指定したら、最下段の「Cut list」に登録されているか確認す
  る(結合される順序を変更する事が可能)。
6
)出力
  メイン画面中央右端のアイコン又は「Actions」メニューの「Cut video/audio」をクリック
  すると、「Cut video/audio」ダイアログが表示される。
    「Common」タブの「Output file」で出力ファイル名を、「Output path」で保存先フォルダ
    を指定する。
    デフォルトでは映像ファイルと音声ファイルが別々に保存されるので、結合して出力する
    場合は、「Muxing」タブで「Finally mux result streams」をチェックする。
       「Output path」の右側フォルダボタンをクリックして、保存先を指定する。
    分離出力された映像と音声ファイルを自動で削除したい場合は、「Delete elementary
     streams」にチェックを入れておく。
  最後に「Cut」ボタンをクリックすると、登録した部分がmplexで結合されて、元素材の圧縮
  形式のMPEG2_AC3.mpgで出力される。               ↓ページ表示はここを

  なお、音声素材が.wavの場合は、結合して出力する事は出来ない。
 結果
  編集操作は直感的で分かり易く、動作が軽快で、選択範囲の指定は微調節可能だ。
  しかし、読み込める素材は分離ファイルに限られる点が欠点だ。
  又、MPEG Streamclipのように音声を変換してMPEG2_MP2.mpgで出力する事は出来ない。
<補足>
 1) Cuttermaranをフレーム単位で編集する方法
   MPEGをフレーム単位で編集する(Cuttermaran + CuttyEnc)
    外部エンコーダーのCuttyEncを使えば、MPEGのエンコードが可能となり、画質低下と
    いう問題はあるが、Cuttermaranをフレーム単位で編集出来るようにする事が出来る。
    一コマ単位(Bフレーム単位)での開始・終了ポイント設定が可能となる。
   フリーウェアで行う動画編集
    Cuttermaran+CuttyEnc +DVDStyler
 2) 「Actions」メニューの「Save current frame」を実行すれば、静止画キャプチャが可能。



Mpg2Cut2
 特徴
Mpg2Cut2は MPEG2ファイル(DVD, SVCD, HDTV, DTV, TS)をGOP単位でカット編集する
 ツール。
他の複数のファイルを追加してクリップして、一つのファイルに出力することも可能だ。
 入手先とインストール
Mpg2Cut2本体の入手先は、ここから (今回は v2.5.0のMpg2Cut2_6917.zipを使用)。
 適当な場所に解凍して使用する。
 日本語化パッチは、ここから (Mpg2Cut2_6917_jp_r1.zipを)入手。
その他必要なもの:本体入手先のダウンロードページ下方の「AUDIO DLLs」の項目にある 
 「LibMMD + MpaLib - 20 Apr 2002 - 283k Zip. (Dark Avenger routines)」を入手。
 Mpg2-AUDIO-DLLs.zipを解凍して、テキスト以外の5個の.dllファイルをWindowsのシステム
 フォルダ(C:\Windows\System32)
 に入れる。

 これらの.dllファイルが無いと、
 MPEGファイルの再生時に右の
 警告が示され、本ソフト上では
 無声となってしまう。
 方法
1)前準備
   Mpg2Cut2を起動するとメイン画面が表示されるので、先ず「その他」メニューの「ホップ
   アップメッセージ」の「ツールバー情報」にチェックを入れて”ホップアップヘルプ”を表示
   出来るように設定しておく。
2)素材の読み込み
   「ファイル」メニューの「開く」から、素材(今回は、MPEG2_AC3.vob)を読み込む。
   「ファイルを追加」から、複数の素材を読み込む事も可能。
→2箇所の領域を選択。スライダー部には後者しかGUI 表示されない。
3)選択範囲の指定とトリミング
   本ソフトも、不要部分を切り取るのではなく、逆に
   必要部分を抜き出して繋げ直すことで不要部分
   をカットする。

   スライドバーを操作して、切り出すシーンの開始
   位置に移動して、「
[ 」ボタンをクリック。
   次に、終了位置に合わせて「
]」ボタンをクリックす
   ると、クリップとして(「編集」/「自動保存」がチェ
   ックされていれば)自動的に登録される。
   微調整には、「<」、「> 」ボタンの I フレーム移動
   を使用する。
   同様に必要なシーンを指定してクリップに登録
   する。
B = BMP Snapshot of current frame.
+ = Add selection to Clip List
L = Luminance Adjust
Z = Zoom
= Stop
/ = Forward Single Frame
p- = Play Slow
P = Play
p+ = Play Fast
p* = Play Extra Fast (no sound)

[ = Mark "IN" point (START of clip)
<< = Jump Back
< = Move back 1 GOP(Previous I-Frame)
> = Move forward 1 GOP(Next I-Frame)
>> = Jump Forward
] = Mark "OUT" point (END of clip)
4)登録した領域の確認
   残しておきたい領域を全て指定したら、「プレビュー」で「高速」にチェックを入れて、
   「全てのクリッププレビュー」で確認は一応出来るのだが・・・
   登録された範囲のリストをGUIで表示する機能はないので、極めて不便だ!
5)出力
   「ファイル」メニューの
   「全てのクリップセーブ」
   を選択すると、
   編集処理が始まる。
  →クリップとして登録したシーンが結合されて、元素材の圧縮形式MPEG2_AC3のMPEG2
    ファイルが出力される。
  *「ファイル」メニュー/「全てのクリップUnmux」を選択すれば、映像と音声は分離して出力
    される。
 結果
   登録リストのGUI 表示機能がない等使い勝手はイマイチだが、選択範囲指定の微調節は
   可能だ。
   MPEG Streamclipのように、音声を変換してMPEG2_MP2.mpgで出力する事は出来ない。
 <補足>
   「B」ボタン又は「ファイル」メニュー/「BMPスナップショット」で、静止画キャプチャが可能。



Movica
 特徴
MovicaはMPEGツールのMpgTxとWindows MediaツールのAsfBinの二つのプログラムの
  GUI で、MPEG及びWMVファイルの簡単な編集ソフト。
  ビデオファイルの分割、カット、トリミングや貼り付けの他、複数のファイルの結合も可能。
 入手先とインストール
Movicaの入手先は、ここから (今回はBeta 4.4を使用)。
 SetupMovica_Beta4_4.msi をクリックして型の如くインストールする。
ソフトの動作にはMicrosoft .NET Framework 1.1.4322が必要( .NET Framework 2以降は
 代用出来ない) 。
 操作方法
1)前準備
  今回は、VOBファイル(MPEG2_AC3.vob)を素材にするが、認識しないので拡張子を .mpg
   に変更しておく。
2) Movicaを起動すると、メイン画面の「Player」タブが表示される。
  先ず「Advanced」タブで”Keep Movica window on top when playing”のチェックを外して
   おいた方が使いやすい。
  なお、LanguageでJapaneseを選択出来るが、日本語訳が不適切なのでかえって解り辛い。
3
)素材の読み込み
   「File」メニューの「Open Movie File」をクリックして、素材を読み込む。
4
)選択範囲の指定
  本ソフトは、不要部分を切り取る又は必要部分を抜き出す。いずれの方法でも出力可能だ。
  
→2箇所の領域を選択。スライダー部に選択領域がGUI 表示されない。  
  選択範囲の指定方法
    画面下にある(1)のスライダーでおおまかな位置まで移動して、
      開始点を(2)のStartボタンで、終了点を(3)のEndボタンで指定すると
      「Selected Parts」欄に選択範囲が登録される。
    画面下部にある「Granularity」欄の、(4)のStarting Point移動ボタンと(5)のEnd Point
      移動ボタンで、微調整する(Granularityで1クリックの移動距離を調整出来る)。
    他に選択したいシーンがあれば、同様の方法で選択して追加する。
    もし間違ってリストアップした場合は、その項目を右クリックしてショートカットメニュー
      から「Delete」を選択すれば削除出来る。
5)登録した領域の確認
  選択したい領域を全て指定したら、右の「Selected Parts」欄の再生ボタンで確認する。
ボタン
:選択された部分の全再生
ボタン
:選択されていない部分の再生
ボタン
:ハイライト部分の再生
6 )出力
 6-1)「Split」タブの確認:
    一ファイルで出力する場合は、初期設定の「Play Duration」にチェックを入れておく。
 6-2)「File」メニューで、必要な部分を抽出した場合は「Save Selected Parts」を、不必要
     な部分を抽出した場合は「Save Without Selected Parts」をクリックする。
    「Select Output file」が表示されるので保存先フォルダと出力ファイル名を入力して
     保存する。
 6-3)出力されると、「Trace」タブに進行状態と結果がロッグ表示される。
 結果
   使い勝手はCuttermaranと比較すればイマイチだが、操作は軽快で選択範囲指定
   の微調節も可能だ。
   但し、MPEG Streamclipのように音声を変換してMPEG2_MP2.mpgで出力する事は
   出来ない。
   MPEG以外にもWindows Mediaに対応しており、使い勝手は「AsfBinのラッパー」参照。
<補足>
  1)「Split」タブの「Play Duration」:再生時間、又は「Pieces」:分割数、又は「Size」:
   容量を指定して、「Split the file」ボタンを実行すれば、ファイルを分割して出力する事
   が可能。
  2)「Join」タブを利用すれば、複数のファイルを結合する事が可能。


追加(2007.09.21)
Free Fast Mpeg Cut
 特徴
Free Fast Mpeg Cutは、単純にMPEG1/MPEG2のフレーム単位で再エンコードなしで、
トリミング出来るソフト。
 入手先とインストール
Free Fast Mpeg Cutの入手先は、ここから (今回はFree Fast Mpeg Cut 2.3を使用)。
本家からの入手では、宣伝が多くて煩わしいが、以下の9番目をダウンロードする。
  1.Free YouTube to iPod Converter 2.7(Languages: Eng, Esp, Fra, Pol, Dut, Jpn)
  2.Free YouTube to iPhone Converter 1.2(Languages: Eng, Esp, Fra, Pol, Dut, Jpn)
  3.Free YouTube to MP3 Converter 2.3(Languages: Eng, Ger, Jpn)
  4.Free 3GP Video Converter 2.3(Languages: Eng, Jpn)
  5.Free Video to Flash Converter 2.3(Languages: Eng, Jpn)
  6.Free Video to iPod Converter 2.3(Languages: Eng, Dut, Jpn, Ger)
  7.Free Video to iPhone Converter 1.2(Languages: Eng, Dut, Jpn, Ger)
  8.Free Video to MP3 Converter 2.7(Languages: Eng, Ger, Esp, Por, Jpn, Gre)
  9.Free Fast MPEG Cut 2.3(Languages: Eng, Esp, Pol, Jpn, Ser)
 10.Free YouTube Uploader 1.4(Languages: Eng, Jpn)
FreeFastMpegCut.exeをダブルクリックしてインストールする。迷うところはない。
 操作方法
1) Free Fast Mpeg Cutを起動すると、宣伝画面が表示されるので「続行」をクリックする。
2) 素材の読み込みと出力先の指定
   「入力ファイル」をクリックして、素材を読み込む。
   「出力ファイル」をクリックして保存先を指定しても良いが、そのままなら「ファイル名_NEW.
   mpg」で同じフォルダに出力される。
3) 選択範囲の指定
  本ソフトは必要部分を抜き出すトリミング仕様となっており、フレーム単位で前後をハサミ
  で必要な範囲を指定する。  
4) 出力
  「ハサミ変換」ボタンをクリックすると、宣伝入りの「変換の進行状況」画面が表示されて、
  速やかに完了する。
 結果
 1)使い方は単純で難しい事は何もない。選択範囲指定の微調節も可能だ。
 2)VOBファイル(MPEG2_AC3.vob)を素材にする事は出来ない。
 3)付属する「Free Studio Manager」から、無料の「Free Video to Flash Converter」などの
   変換ツールを自動でインストールする事が可能だが、あまり有用なものはない。



MPEG Streamclip for Windows v1.1
こちらを参照
本ソフトは、MPEGとQuickTime動画の編集・変換・分離ソフトで、MPEG-1/2/4, VOBの他に、
 QuickTimeも無劣化でカット編集する事が可能なソフト

MPEG2_AC3.vobを音声だけを変換してMPEG2_MP2.mpgで出力する事が可能だが、選択範囲指
定の調整が難しい。MPEGの編集は GOP単位で可能だが、フレーム単位では出来ない。
指定範囲の選択は、カット方式、トリミング方式いずれの方法でも可能だ。
  

Avidemux
こちらを参照
本ソフトは、多形式のビデオに対応した動画編集・変換ツール。
AVI, MPEG2, VOBとFLV1の場合は、カットと結合だけの編集なら無劣化で出力す
MPEGの編集はフレーム単位で可能で、指定範囲の選択はカット方式となっており、選択範囲の
指定も調整し易い。

但し、MPEG Streamclip for WindowsのようにMOVを無劣化で出力する事は出来ず、MP4
無劣化出はほぼ不可能だ。
なお、MPEG2_AC3.vobを音声だけ変換して、MPEG2_MP2.mpgで出力する事も可能。

Smart Cutter PS/TS
こちらを参照
本ソフトは PS、TS 、M2TS、VOB形式等の動画を簡単にフレーム単位でカット編集する事が出
来るフリーで使用可能なソフト。一度に複数のカット処理が出来、トリミングした動画を結合して
一つのファイルとして出力する事が可能だ。
残念ながら、トリミングの初めに0.5秒間(1GOP単位、12フレーム)、邪魔な「FAME」というウォ
ーターマークが挿入されてしまう。


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