MEncoderの代表的なインタレ解除フィルタ
こちらのブログ(2006/11/23)から転写しました(記事が消失するといけないので・・・)
完全なインタレ解除というものは無い。「素材に忠実に」いくならインタレ保持が正しい。しかし、パソコンで見るならインタレ縞は邪魔でしか無い。このへんは深入りするととても深いらしく、最終的にはグラフィック・カードでのハードウェア・インタレ解除にいきつくようだ。iTMSがある以上、それはMac では望めまい。ともかく。

 MEncoderのインタレ解除フィルタはざっくり言ってpp系とそれ以外に分類できる。

pp系の特徴
基本的に画面全体の一律処理。インタレ縞を完全に解除する。前後のフレームを混ぜる為、混ぜ方により色がボケたり、動くものが2重化したり、輪郭線にジャギがでたりする。混ぜ方はいろいろ、長所も短所もいろいろ。
pp系以外の特徴
様々な方式を駆使してインタレ縞を発見、「賢く」除去する。大雑把に言って色味はpp系よりクリアになるが、インタレ縞の解除漏れがありがち。子オプションで微調整が効くものが多い。

. 名称 共通項 説明 利点 弱点
p
p
pp=lb 縞完全除去 linear blend
全ライン処理
リニアブレンド
完全にインタレ縞が消え、ジャギも出ない。 画像全体がややボケる。動くものが2重化する。
pp=li linear interpolating
2ndライン処理
リニア補間
素早く動く人物の輪郭(ジャギ)はmdより上。 輪郭線などにジャギが出る。
動きの少ない部分はpp=mdより悪い(特に直線に弱い,文字や車の縁など)
pp=ci cubic interpolating
2ndライン処理
三次元(?)補間
素早く動く人物の輪郭(ジャギ)はliより上。 輪郭線などにジャギが出る。
動きの少ない部分はpp=liより悪い(特に直線,文字や車の縁など)。
pp=md median
2ndライン処理
中央値補間
pp系の中ではベストバランス。
他はmdより良い部分と悪い部分がある。色のボケは最も少ない。ffmpegXが使う。
特に人物の輪郭がジャギが出る。
特にアニメで主線がぶつぶつ線になりがち。
pp=fd ffmpeg deinterlacer
2ndライン処理
特に無し。 全体がボケる。動くものが2重化する。ジャギも散見。
ffmpegで使えるものより性能が悪い。
pp=l5 lowpass5
全ライン処理
低域通過フィルタ
5タップ?
動きの少ない部分ではmdよりクリアかも。 全体がややボケ、動く物も2重化するが、pp=lbよりは良い。
映像内容によってはインタレ縞が残る事もある。

p
p




kerndeint 解除漏れリスク(素材・設定次第) ピンポイント縞解除 動きの無いコマはfilndint並みにクリア。
微調整可。
シーンチェンジ直後のジャギが激しい。激しく動く部分はpp=mdに劣る事も。
オリジナルの作者自身がもう古いから他の使えと言っている。








pullup 解除漏れリスク(素材・設定次第) インタレ解除ではなく、逆テレシネ。 MEncoder最大の強み。
24fpsカメラ撮影素材専用。
解除漏れはまず無く、極めてクリア。
30fps素材に向かない。
CGやNTSC字幕などが合成されていると元映像にあったコマが消失するし、縞付きのゴーストが出たりする。
filmdint 逆テレシネ+インタレ解除。
万能ナイフ。
pp=mdより全体にクリア。動く物の2重化、人物の輪郭ジャギ、アニメの主線のぶつ切れ現象、いずれも僅か。詳細な微調整可。 インタレ縞が残る事があり、素材傾向別の微調整が必要。
シーンの変わり目で一瞬ジャギが出る(kerndeintよりは良い)。
字幕やテロップが小刻みに荒れる(固有の現象)。
基本的にmmx/3DNOW!に激しく依存し、05'夏頃を境にPPCでは正常動作しない。




yadif NTSCの60fps化または 30fps化が選べる。 yet another deinterlacerの略
filmdintの代役としてオールラウンドに使える。
字幕やテロップが小刻みに荒れる事が無いのが強み。
実写で首を傾げるなどの些細な動きに弱く、ジャギが残る。
60fpsで吐く際は一時停止時の奇麗さを最重視する傾向。これは静止画像のパンでカクツク事がある。
mcdeint mcは動き補償の略
yadifより地味にジャギが少ない。 猛烈に遅い。
これ一個でエンコードfpsが小数点以下に落ちる。
まだフィールドオーダーの自動検出が無い。
 手許では映画とアニメはpullup、その他の番組はfilmdintを中心に使っていた。いずれもTVキャプチャでは解除漏れが残り得るので(空間軸 /時間軸fps混合はアニメだけでなくTV番組全般にあり得る)補助的にpp=l5を追加。
 filmdintが動作しなくなって以降はyadifを使っている。

 実用例のまとめは、「MEncoderのビデオフィルタ、簡単なまとめ」にて。