Core 2 Quad Q6600のオーバークロック試験

Core 2 Quad Q6600のオーバークロック試験
消費電力と発熱が改良されているG-Oステッピング版Q6600のオーバークロック実験
(2010.04.27作成)
   既にCore 2 Quad Q6600(2.4GHz)をオーバークロックして、Core 2 Extreme QX6850(3.0GHz)
     と同等の性能が得られたと報告されて久しい。今更なのだが・・・
   筆者はそろそろ高機能のCPU:Core i7の導入を考えており、その前にCore 2 Quad Q6600のオ
     ーバークロック(Overclocking, OC)実験をしてみる事とした。
   結果、コンピュータのクーラー環境は劣悪だった為、改装しない限りオーバークロックは危険な事
    が判明したので、参考にはならないが以下メモするに留めた。
 I.マシーン環境
   マシンは、Intel Core 2 Quad Q6600(2.40GHz)の自作パソコンで、
     マザーボード:ASUS P5E(Intel X38/ICH9R)
     メモリー:DDR2(PC2-6400)2GBx4=8GB
     グラフィックカード:GeForce9600GT(VRAM 512MB): Drive v197.13
     電源ユニット:Zumax ZU-450Z
     PCケース:AS Enclosure S1R
   OS: 64ビット版 Windows 7 Professinal
 II.オーバークロックの方法
    BIOSのAI Tweakerメニューで、AI Overclock Tunerを Autoから Manual にして以下の如く設定
    した。
     FSB Frequency: システムクロック266から 300に変更
     PCIE Frequency:116に固定(100に固定した方が良いのだろうか?)
     DRAM Frequency:Autoのまま変更なし。
     CPU Voltage:Autoのまま変更なし。
     CPU Ratio Setting:CPU内部倍率を9倍に設定してもよいのだが、Autoのままとした。
      その為にCPU負荷のない時は6倍で、一定以上の負荷が掛かると9倍で作動する。
   なお、初めにASUS AI Suite(一部のBIOS設定をWindows上から行えるユーティリティ、ここ
     ら入手)1.06.11の AI Boosterで FSB Frequencyを 266から 300に変更したところ、
     Memorry Frequencyも 400から452に増加してしまった(FSB:DRAM が2:3に固定したまま
     となってしまっている)ので、それ以上使用する事を諦めた。
 
   <参考>Q6600 のオーバークロック手順動画」では、以下の如く大胆にBIOS設定を実行。
      P5K Deluxeで、定格(2.4GHz)から漸次オーバークロックする手順をムービーで解説してい
      る(但し、ストレステストは表示なされていない)。
 
Avvanced CPU Ratio Control ⇒ Manual
 FSB Frequency
333
125%(3.0GHz)
389
146%(3.5GHz)
423
158%(3.8GHz)
445
167%(4.0GHz)
 PCIE Frequency
⇒100
 DRAM Frequency
→DDR2-1067MHz
DDR2-973MHz
左に同じ
DDR2-1068MHz
 DRAM Command Rate
2T
 DRAM Timing Control ⇒ Manual、  Memory Timing設定 ⇒ 5-5-5-15
 CPU Voltage
→1.35V
左に同じ
1.50V
1.60V
 CPU PLL Voltage
変更無し
変更無し
変更無し
1.80V
 DRAM Voltage
⇒ 2.30V for G.Skill PC2-8500HK
 FSB Termination Voltage
→1.20V
1.40V
左に同じ
1.50V
 North Bridge Voltage
→1.25V
1.55V
左に同じ
1.70V
 South Bridge Voltage
→1.05V
左に同じ
1.20V
左に同じ
Avvanced ; CPU Configuration
 C1E Support ⇒ Disabled
 
 III.メインディバイスの情報
   CPU-ZここからCPU-Z 1.54を入手)を使用して、CPU やメモリ、グラフィックカード、マザーボ
    ード等の情報を取得した。
   CPUの情報
   定格時
 
    300MHzOC時:Core Speedは当初の目標通りに 2.7GHzとなった!
 
   メモリーの情報
   定格時
 
    300MHzOC時:FSB:DRAM比が増加してDRAM Frequencyはむしろ減少した。
 
   グラフィックカードの情報
   定格時、 300MHzOC時共に同じ。
 
 
 IV.ベンチマークテストCrystalMark 2004R3ここから入手)
  システムクロック266MHzから300MHzにする事によって、HDD以外は約 10%増加した。
 
 
 V.スーパーπ(円周率計算プログラム、ここから入手)
 
 使用ツール
桁数
定格時
300MHzOC時
 スーパーπ Ver 1.1
419万桁
2分02秒
1分50秒(x0.90)
 
 (  )内は、300MHz作動時での変換時間÷定格作動時での変換時間を示す。
 
 VI.動画変換試験
  A)各ファイル形式への変換
   素材: PT1で録画した地デジ二ヶ国語音声の洋画番組(1時間54分)音声のみを変
      
出力し結合した MPEG2_AC3.tsファイル(別記の方法Aを参照)。
      MPEG2(24.0Mbps, 1440x1080[16:9], 29.970fps)、AC3(192Kbps, 48.0KHz)
      更に、Murdoc Cutterで無劣化カットした4分59秒のクリップファイルを素材とした。
   変換:映像圧縮はH.264/AVC:12.0Mbps, 1920x1080[16:9], 29.970fpsを目標値とし、
     音声圧縮はAAC:256Kbps, 48.0KHzを目標値として、1Passで変換した。
 
 動画変換ソフト
変換形式
定格時
300MHzOC時
参考
 MediaCoder(x32) 0.7.3
  x264エンコーダ
MP4
25分56秒
23分18秒(x0.90)
 MediaCoder(x32) 0.7.3
  CUDA H.264エンコーダ
MP4
5分01秒
4分44秒(x0.94)
 TMPGEnc 4.0 XPress
 
4.7.6.304
  SpursEngine
MP4
4分43秒
4分33秒(x0.96)
 DivX Plus Converter 8.0
MKV
15分18秒
13分53秒(x0.91)
 XMedia Recode 2.2.1.0
FLV4
11分40秒
10分33秒(x0.91)
 
 (  )内は、300MHz作動時での変換時間÷定格作動時での変換時間を示す。
 
  B)Blu-rayの構築
   Xacti DMX-HD1000でFull-HDモード撮影したMPEG-4 AVC/H.264形式のファイル(トー
   タルの収録時間:13分05秒)を素材として、Corel VideoStudio 12 PlusでBlu-ray
   フォルダ(BDMV)を構築した。
 
 使用ソフト
変換形式
定格時
300MHzOC時
参考
 Corel VideoStudio
 12 Plus
12.0.53.0
Blu-ray
フォルダ
63分19秒
58分57秒(x0.93)
 
 (  )内は、300MHz作動時での変換時間÷定格作動時での変換時間を示す。
 
 VII.ストレステスト
  OCCT(OverClock Checking Tool)
3.1.0(ここから入手)を使用して、CPU(及び
   GPU)に高負荷を与えてシステムの安定度(パーツの温度・電圧)を調べた。
   なお、計測にはCPU-ZHWMonitor1.15, 64-bit(ここから入手、温度・電圧モニター
   ツール)のエンジンを利用した。
   「Option」の「Settings」でMax CPU Temp(自動停止のしきい値)をシステムにダメージ
   を与えるかも知れないが、下記の如くすぐコケルので80℃から 94℃に変更した。
   負荷方法には5種類あるが(こちらの記事を参照)、一般にはCPU:OCCTを使用する。
 
   まず初めに、システムに甚大なダメージを与える可能性があると警告されるが敢えて、
  A)POWER SUPPLY(CPU,GPUと電源を同時に高負荷)を、1024x768, 60Hz,Default(0)
    で30分間実行した。
   定格時は30分間完走出来たが、Max80℃近くに達しCPUクーラー環境は悪かった。
 
 
 
300MHz動作時は、開始後4〜5分で94℃以上となり早々と停止してしまった Y (>_<、)Y
 
  B)CPU:OCCT(標準的なCPU単体の負荷)を Medium→Large Data Set, Priority: NORMAL
    で、30分間実行。
    CPU温度の変動
    定格時:安全といわれる70℃前半を簡単に超えてしまった (;>ω<)/
 
 
 
300MHzOC時:80〜84℃に達してしまった Y (>_<、)Y
 
 
   VCore電圧の変動
 
 
 
300MHzOC時:定格動作時と差は無かった。
 
 VIII.結果 
  FSB Frequencyを300MHzにオーバークロック時は、OCCTのストレステストを完走出来ず、
   CPUのクーラー環境は劣悪と評価された。
   しかも、スリープから解除した場合のマシンの挙動も問題だった。
    勝手にシステムクロックが定格の266MHzに戻ってしまった。又ある時は、ハングアップ
    してタスクマネージャーすら起動出来ず、強制的に再起動が必要だった。
  従って、CPU Frequencyは最終目標の3.2GHzにはとても及ばず、2.7GHzでも断念した。
   動画変換速度は10%位高速化したが、残念ながら冷却環境を改装しない限りオーバーク
   ロックする事は出来ない Y (>_<、)Y
  <耐久CPU温度の疑問>
   CPUID Hardware Monitorで計測されるCore温度とCPU温度との解離
    定格時にCPU:OCCTを30分間実行した場合のCore温度とCPU温度は、以下の如くコン
    ピュータの環境によって大きく異なっており、どこを耐久としたら良いのか疑問だ  ?(゜_。)?
   今回の自作PC(Intel Core 2 Quad Q6600)の場合、MaxのCore温度はCPU温度よりも
    約20℃も高値だった(しかも今回は定格時でも Max 82℃に達してしまった)!
 
    マウスコンピュータ EGPE66GT50P(Intel Core 2 Duo E6600)の場合は、MaxのCore温
    度はCPU温度とほぼ同じ値を示した。
 
    VAIOノートブック VPCCW19FJ (Intel Mobile Core 2 Duo P8700)の場合は、MaxのCore
    温度は逆にCPU温度よりも約10℃低値だった。
 
 


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